駐車場での車両事故は、一般道とは異なるシチュエーションから判断が難しい場合もあります。特に、バックで駐車中に後方から来た車と接触したケースでは、運転者の不注意と相手側の注意義務の両面から過失割合を考慮する必要があります。本記事では、そうしたケースにおける責任の考え方や対応策について解説します。
駐車中の接触事故:よくあるシチュエーション
例えば、6台分ほどの区画がある月極や来客用駐車場において、バックで駐車しようとしていたところ、後方から入ってきた車と接触してしまうというケース。バック中は視認性が悪く、進入してきた相手車両に気づけないこともあります。
こうした状況では、事故当時の速度や周囲の交通状況、後続車の挙動(急な進入・徐行の有無など)も大きな要素になります。
駐車場内での事故における過失割合の基本
一般的に、バック中の車両には高い注意義務が課されており、過失割合は「バック車:進行車=7:3」や「8:2」とされることが多いです。しかし、進行車が急接近してきた、徐行していなかったなどの事情がある場合には過失が相殺され、逆に5:5に近づくケースもあります。
したがって「100%こちらが悪い(10:0)」という一方的な結論になることは少なく、映像記録や現場写真の有無によって大きく変動します。
ドライブレコーダーが重要な証拠になる
事故時の様子がドライブレコーダーに記録されていれば、それが決定的な証拠となります。以下のような点を確認しましょう。
- 接触時の速度や進入角度
- クラクションのタイミング
- 相手車両の接近速度・停止の有無
こうした情報をもとに、保険会社が過失割合を判断する際の交渉材料に活用できます。
対応の流れと注意点
事故が起きたら以下の手順で対応してください。
- 警察に通報し、事故証明を取得する
- 相手車両のナンバー・ドライバー情報を控える
- 自分の保険会社にすぐ連絡
- ドライブレコーダーのデータを保存し提出
また、保険会社には過失割合をこちらが一方的に被る必要がないことをしっかり伝えることが重要です。
交渉で気をつけたいポイント
相手側が強く「あなたが悪い」と主張してきても、感情的にならず、冷静に保険会社に任せましょう。示談交渉を個人で行うのはリスクが大きいため、保険担当者に全てを委ねるのが賢明です。
なお、駐車場内の事故でも過失割合は柔軟に判断されるため、一方的な責任を認める必要はありません。
まとめ:10対0になるとは限らない
バック駐車中の接触事故でも、必ずしも「バックしていた車が10割悪い」とは限りません。進行してきた車の速度や注意義務違反があった場合には、相手側にも一定の過失が認められるケースもあります。ドライブレコーダーなどの証拠を活用し、保険会社を通じて適正な判断を求めましょう。