インターネット上での誹謗中傷が社会問題となる中、投稿者を特定するための「発信者情報開示請求」は一般の人にも利用されるようになっています。しかし、どんな中傷が対象になるのか、実際にかかる費用はどの程度か、イメージが湧かない人も多いでしょう。この記事では、実際の事例や費用感をもとに、開示請求の現実を解説します。
発信者情報開示請求とは?
「発信者情報開示請求」とは、掲示板やSNSなどで誹謗中傷を受けた場合、投稿者の氏名やIPアドレスなどを特定するための法的手続きです。対象となるのは、名誉毀損・侮辱・プライバシー侵害など社会通念上許されない表現です。
例えば「○○は犯罪者」「詐欺まがいの商売をしている」など、虚偽かつ社会的評価を下げるような投稿が該当します。
実際にあった誹謗中傷の具体例
実際に開示請求が行われた中傷の例には次のようなものがあります。
- 「あの人は浮気してる」「不倫女」などの事実無根の投稿
- 実名を出して「詐欺師」「違法行為をしている」と書かれた事例
- 会社や個人に対し「潰れろ」「死ね」などの暴言
- 個人の住所・顔写真などを勝手に掲載する行為
これらはSNSや匿名掲示板、ブログのコメント欄など様々な媒体で行われていました。
開示請求の費用とプロセス
開示請求には主に2つのステップがあります。第一段階はプロバイダに対する開示請求、第二段階はアクセスログから得られた情報をもとに投稿者(契約者)への情報開示請求です。
費用の目安としては、弁護士費用・手数料・裁判費用を含めると合計で30万円〜80万円程度が相場です。ただし、相手が素直に情報開示に応じた場合は費用も抑えられるケースがあります。
弁護士を依頼するメリットと注意点
専門の弁護士に依頼することで、的確な証拠集めや迅速な手続きを期待できます。また、匿名性の高い媒体に対しても法的知識を活かした対応が可能になります。
ただし、開示請求を通じて相手を特定しても、慰謝料請求に成功するとは限らず、訴訟継続には別途費用がかかる点には注意が必要です。
成功事例とその後の対応
ある女性は、掲示板に「援交してる」「風俗嬢」など事実無根の中傷を書かれ、開示請求を行い投稿者を特定。示談により30万円の慰謝料を得た事例があります。
また、会社が「ブラック企業」「給料未払い」などと虚偽投稿をされ、IPから元社員を特定し、法的措置に至った事例もあります。結果的に投稿者は謝罪文を出し、損害賠償も支払いました。
泣き寝入りを避けるためにできること
誹謗中傷を受けた際には、まず投稿のスクリーンショットとURLを保存し、インターネットに強い弁護士に無料相談してみることをおすすめします。
費用が心配な方は、法テラスの利用や、クラウドファンディングなどを活用して開示請求に取り組んだ事例もあります。
まとめ|匿名でも責任は免れない時代
インターネットは自由な表現の場である一方、責任を伴う空間でもあります。開示請求は費用も手間もかかる手続きですが、泣き寝入りせずに声を上げることで、自分の尊厳を守ることができます。
もし誹謗中傷に苦しんでいるなら、信頼できる専門家に相談することから始めてみてください。今は、戦う手段も整ってきている時代です。