交通事故の被害者になった際、過失割合や通院期間、弁護士への依頼の有無などによって、最終的な慰謝料に大きな差が出ます。この記事では、過失割合が9対1で、被害者が2ヶ月間むちうちで通院したケースを例に、弁護士基準での慰謝料相場や実際の計算方法について詳しく解説します。
過失割合9対1の意味と慰謝料への影響
過失割合が9対1とは、事故の責任が加害者9割、被害者1割と判断されている状態です。この場合、被害者は原則として損害の90%分を請求できます。例えば慰謝料が60万円であれば、1割減額された54万円が実際の受取額となります。
過失相殺は慰謝料だけでなく、治療費や休業損害などの賠償金にも適用されるため、全体の損害賠償額がどれくらいになるかを把握することが重要です。
2ヶ月の通院期間での慰謝料相場
弁護士基準(裁判基準)では、通院1ヶ月あたりの慰謝料はおおよそ28万円前後とされています。これをもとにすると、2ヶ月通院した場合の慰謝料はおよそ56万円になります。
ただし、実通院日数や通院頻度が少ない場合には、金額が調整されるケースがあります。例えば2ヶ月で10回程度しか通院していない場合、慰謝料が30万円程度にとどまることもあります。
弁護士に依頼した場合のメリット
弁護士を通すと、「弁護士基準」での交渉が可能になり、保険会社の提示額(自賠責基準や任意保険基準)よりも高額な慰謝料が期待できます。特に任意保険会社は、被害者が弁護士をつけていない場合、慰謝料を低く見積もる傾向があります。
また、弁護士費用特約が自動車保険についていれば、自己負担なく依頼できるため、結果的に手元に残る金額が多くなることが多いです。
実際の計算例
項目 | 金額 |
---|---|
慰謝料(弁護士基準) | 56万円 |
過失相殺(10%) | -5.6万円 |
実際の慰謝料 | 約50.4万円 |
これはあくまで概算であり、その他に休業損害や交通費なども加算されます。弁護士が交渉することでこれ以上の金額になるケースも珍しくありません。
通院日数や症状固定の有無も重要
慰謝料は「通院期間」だけでなく、「通院実績日数」「症状固定までの経過」「後遺障害の認定」なども考慮されます。むちうちであっても、症状固定後に後遺障害等級が認定されれば、別途後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)が支払われる可能性もあります。
例えば、後遺障害14級が認定されると、それだけで後遺障害慰謝料110万円+逸失利益の請求が可能になります。
まとめ:弁護士基準で交渉すれば50万円以上の慰謝料が見込める
過失割合が9:1で2ヶ月通院したむちうち事故では、弁護士基準での慰謝料は約50万円前後が目安です。弁護士に依頼することで金額が増額されるケースが多く、特に弁護士費用特約が使える場合は積極的に相談することをおすすめします。
被害者自身が保険会社と交渉すると不利になることもあるため、少しでも納得のいく補償を受けたいなら、専門家の力を借りるのが最善の方法です。