定年退職後でも未払い残業代は請求できる?時効・証拠・手続きのすべて

長年勤めてきた職場で、定年退職を迎えたあと「そういえば残業代が出ていなかったのでは?」と気づく方は少なくありません。この記事では、定年退職後に未払いの残業代や早出手当を会社に請求できるのか、請求の可否や注意点、実際の対応方法について詳しく解説します。

定年退職後でも残業代請求はできる?

結論から言うと、定年退職後であっても未払いの残業代や早出手当の請求は可能です。ただし、民法や労働基準法により「請求できる期間」には制限があるため注意が必要です。

たとえば、退職後に気づいた場合でも、一定期間内であれば過去の未払い分を請求できます。退職金を受け取っていたとしても、それと未払い残業代の請求権は別扱いとなります。

残業代請求の時効に注意

2020年4月1日以降、労働基準法の改正により未払い残業代の請求可能期間は3年に延長されました。それ以前の債権は2年となります。

したがって、22年間分すべてを請求することはできず、基本的には直近3年間(または2年分)に限定されます。

例:2025年に退職した場合 → 2022年〜2025年の未払い分が請求対象。

証拠が必要!記録をどう残すか

残業代を請求するには、「本当に残業していた」ことの証拠が必要です。タイムカードや出勤簿、メールの送信履歴、パソコンのログイン記録などが有力な証拠になります。

「毎日2時間残業していた」と主張する場合、その継続的な勤務実態を示す記録が求められます。手帳に書いていたメモや日報なども証拠として活用可能です。

会社との交渉方法と流れ

証拠がある程度揃ったら、まずは会社に対して内容証明郵便などで請求書を送るのが一般的です。自分で対応が難しい場合は、労働問題に強い弁護士や労働基準監督署に相談することも検討しましょう。

以下のような流れが一般的です。

  • 証拠の収集
  • 残業代の計算
  • 会社への請求通知
  • 交渉または調停・裁判

早期に解決するケースもあれば、交渉が長引くこともあります。

泣き寝入りしないために知っておくべきこと

長年の勤務の中で「サービス残業」が当たり前だったとしても、それが違法であることは変わりません。

仮に「退職金に含まれていた」という主張を会社がしたとしても、明確に残業代と示されていなければ、その主張は通りません(労働契約の明文化が重視されます)。

実際の請求事例と成功ケース

ある地方公務員は、退職後に3年間分の時間外手当を請求し、総額200万円以上の未払い残業代を回収したケースがあります。

また、民間企業でも記録が残っていたことにより、退職後の請求が認められた判例も多数あります。

まとめ:退職後でも泣き寝入りせずに行動を

定年退職後であっても、未払い残業代の請求は法律的に認められています。時効の問題や証拠の有無はありますが、諦める前に一度冷静に証拠を確認し、専門家へ相談することをおすすめします。

「退職金をもらったから残業代は請求できない」というのは誤解であり、しっかりと権利を主張することが可能です。

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