インターネットやSMS、郵送などを通じて、「実在する弁護士の名前」を名乗り、支払い義務のない金銭を執拗に請求する事例が増加しています。こうした行為には重大な法的問題が潜んでおり、対応を誤ると被害が拡大するおそれがあります。
弁護士名を利用した請求の実態
詐欺業者が実在する弁護士の氏名や所属事務所名を勝手に使い、法的効力があるかのように見せかけて金銭を要求するケースが見られます。このような手口では、次のような文言が使われがちです。
- 「未納料金に関する訴訟準備に入った」
- 「〇〇弁護士が代理人として請求します」
- 「裁判所への提出期限が迫っています」
実際に存在する弁護士の名前が記載されていても、その人物が関与しているとは限らず、確認せずに支払ってしまうと取り戻すことは困難です。
不当請求とみなされる条件とは
以下のような要件がそろえば「不当請求」として違法となる可能性が高いです。
- 支払い義務のない金銭を請求している
- 脅しや法的効力を装って心理的圧力をかけている
- 実在の弁護士や企業の名義を無断使用している
不当請求は、消費者契約法や刑法(詐欺罪・脅迫罪・名誉毀損など)に抵触する場合があります。特に弁護士名の無断使用は、弁護士法第74条などにも関わる可能性があります。
実際にあった事例
・実在する弁護士の名前を使って「訴訟を準備している」と通知を受けた60代女性が、調べた結果まったく関与していない人物だったため消費生活センターに相談。後日、全国的に被害が出ている手口と判明しました。
・男性が通販サイト利用時に支払いを忘れたとする通知を受けたが、記載されていた法律事務所に直接連絡すると「そのような通知は出していない」と否定され、詐欺と判明。
このような請求に対する対処法
- 請求内容に心当たりがなければ、支払わない
- 記載されている弁護士や事務所に直接電話して確認する
- 消費生活センター(188)または警察に相談
- 弁護士会の相談窓口(各都道府県に設置)に問い合わせる
不用意に相手に連絡したり、個人情報を送ることは避けましょう。
弁護士名の無断使用は名誉毀損にも
本人の同意なく弁護士名を使って金銭を請求する行為は、その弁護士自身の社会的信用を損なうものであり、名誉毀損罪や業務妨害が成立する場合もあります。
また、弁護士会に相談すれば、当該弁護士が被害届を出してくれることもあります。
まとめ:弁護士名を悪用した請求には絶対に応じない
実在する弁護士名を使って支払い義務のない請求を繰り返す行為は、明確な不当請求です。冷静に対処し、消費生活センターや弁護士への相談を通じて、身を守る行動を取りましょう。
不安を感じた場合は、国民生活センターや地域の法律相談窓口を積極的に活用しましょう。