罰金刑が支払えないときの対応と労役中の釈放条件|親族による支払いは可能か?

刑事事件で罰金刑が科された際、経済的な理由などで即時に支払えないケースは少なくありません。この記事では、罰金が支払えない場合に科される「労役場留置(ろうえきじょうりゅうち)」の制度と、後日支払いがあった場合の釈放について、法律の仕組みをもとに詳しく解説します。

罰金刑とは?労役場留置とは?

罰金刑とは、刑法や道路交通法などに違反した際に科される金銭的制裁で、刑事罰の一種です。金額は裁判所の判決や略式命令によって決定されます。

この罰金を期日までに支払えない場合、裁判所は「労役場留置」という制度により、一定期間を刑事施設で過ごすことを命じることができます。これがいわゆる“代用監獄”とも呼ばれる制度です。

労役場留置の期間と計算方法

労役場留置は、未納の罰金額に応じて日数が定められます。1日あたり5,000円で換算され、例えば10万円の罰金であれば20日間となります。

この期間中は、基本的に刑務作業(清掃など軽作業)を行いながら収容される生活が続きます。ただし、労役場留置は懲役刑とは異なり、罪の重さとは関係なく「支払い不能に対する対応措置」として運用されます。

途中で罰金を支払えば釈放される?

結論から言えば、労役場留置中であっても、未納分の罰金全額が支払われれば、その時点で釈放されます。この支払いは、本人でなくても構いません。親族や第三者でも問題なく、直接裁判所の指定口座へ納付することができます。

実際には、家族が事情を知り、勤務先や親戚が立て替えるケースも珍しくありません。裁判所に連絡すれば、納付方法や釈放までの流れについて案内してもらえます。

支払い後の釈放手続きの流れ

罰金が納付されたことが裁判所で確認されると、すぐに労役場(拘置所など)へ連絡が入り、本人は原則としてその日のうちに釈放されます。

ただし、タイミングによっては翌日扱いになることもあるため、早ければ早いほど良いと言えます。支払いの証明書を家族が持参しても、原則として現地で釈放手続きを行うわけではないため、納付先と連絡フローを確認しておくとスムーズです。

労役場留置を回避する選択肢

労役に行く前の段階で分割納付の申請や執行猶予の相談ができる場合もあります。これらは裁判所の判断によりますが、正当な事情(病気・失職など)がある場合には認められるケースも。

そのため、判決や略式命令を受けた時点で「支払いが難しい」と感じた場合は、速やかに弁護士や裁判所に相談し、対応を協議することが望ましいです。

まとめ|親族の支払いで釈放は可能

罰金刑による労役場留置は、罰金を支払えない人に対して適用される制度ですが、その後に第三者が罰金を支払えば、留置中でも即時に釈放される可能性があります。

親族や知人が支払いに協力できる状況であれば、速やかに裁判所へ納付の意志を伝え、手続きを行うことが大切です。少しでも早く納付すれば、その分だけ自由が早く戻ってきます

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