交差点での事故は複雑な状況が絡み合い、過失割合の判断が難しいことが多いです。特に優先道路側であっても、追い越し違反などの交通違反が関わる場合、過失がゼロとは限りません。今回は交差点での追い越し事故における注意点と過失割合の考え方を整理します。
交差点での事故の典型的な構図と基本ルール
交差点内では、原則として優先道路を通行している車に通行優先権があります。これにより、非優先道路側から進入した車が事故を起こした場合は、基本的にこちら側の過失が大きくなりがちです。
しかし、それは相手側が適切な通行をしていた場合に限られます。例えば、交差点手前で追い越しをした、センターラインを越えたといった違反がある場合には、相手側にも過失が問われる可能性が高まります。
オレンジライン(追い越し禁止)での追い越しは違反
道路に引かれているオレンジのセンターラインは「追い越し禁止」を意味しています。これは、視界の悪いカーブや交差点付近など、追い越しが危険な場所に設けられています。
そのため、たとえ相手が優先道路を直進していたとしても、オレンジラインをまたいで追い越しをした場合は「通行方法違反(追越違反)」として過失が加算される根拠となります。具体的には、道路交通法第28条に該当します。
交差点での事故における過失割合の考え方
過失割合は、保険会社が事故の状況に応じて交通事故の判例をベースに算定します。交差点での「非優先道路 vs 優先道路」の事故では、通常、非優先側の過失が大きく(70〜80%)なります。
しかし、以下のような要因があれば過失割合が修正される可能性があります。
- 相手が交差点内で追い越しをしていた
- オレンジラインを越えての違法走行があった
- スピード違反や前方不注意が明らかであった
このような事情がある場合、相手方の過失が10〜20%程度上乗せされ、60:40 や 50:50になる可能性も十分あります。
実際の判例に見る過失割合の修正例
例えば、東京地裁でのある判例では、交差点で右折待ちをしていた車を優先車両がオレンジラインを越えて追い越し衝突した事案で、優先車両側にも20%の過失が認定されました。
また、信号機のない交差点での衝突において、優先道路の車が交差点内で前方車両を強引に追い越した結果、過失割合が70:30から50:50に修正された例もあります。
事故後に取るべき行動と注意点
事故後は、必ず次のような対応を心がけましょう。
- 警察に事故を届け出る(実況見分で正確な状況を記録してもらう)
- 相手車両の追い越しの事実やセンターラインの種類を写真などで記録する
- 保険会社に自分側の主張と証拠を明確に伝える
追い越しの違反が認定されることで、自分の過失割合が軽減される可能性があります。したがって、証拠の確保が非常に重要です。
まとめ:オレンジラインでの追い越しは相手の過失を構成する
優先道路であっても、オレンジラインでの追い越しは違反行為にあたり、事故が発生した場合には相手方にも過失が認定されることがあります。
最終的な過失割合は保険会社や裁判所の判断によりますが、事故の経緯や道路状況の記録、追い越し違反の立証が重要です。しっかりと主張と証拠を整えて対応することが、納得のいく過失割合に繋がります。