フリーランスや個人事業主として仕事をしていると、残念ながら「報酬の未払い」や「踏み倒し」に遭遇することがあります。この記事では、実際に支払いを無視された場合の対応や、少額訴訟を起こす手順、相手の連絡先がわからない場合の対処法などを具体的に解説します。
まずすべきこと:内容証明で正式に請求する
支払いがされない場合は、まず内容証明郵便を利用して正式な請求書を送付しましょう。メールやLINEよりも法的証拠としての効力が強く、後々の訴訟でも有利に働きます。
この時点で「◯月◯日までに支払いがない場合は法的措置をとる」と明記しておくと、相手への心理的プレッシャーにもなります。
少額訴訟とは?どんな時に使える?
少額訴訟は、請求額が60万円以下の金銭トラブルに使える裁判手続きです。審理は原則1回で完結し、迅速かつ低コストで解決できます。弁護士を使わず、本人だけで申し立てが可能なのも特徴です。
裁判所にある所定の申立書に記入し、証拠(請求書、やり取りの履歴、作業ファイルの送付記録など)を添えて提出します。
相手の住所がわからないときの対処法
少額訴訟を起こすには、相手の「送達可能な住所」が必要です。メールアドレスやLINEでは裁判所から通知ができません。
以下の方法で住所を特定することが可能です。
- 相手の銀行口座情報から金融機関を通じて開示請求
- 相手のサイトのドメイン情報(WHOIS)を確認
- SNSや過去の名刺・請求書・口座番号などを確認
どうしても分からない場合は、弁護士に相談し、調査嘱託や公示送達の手続きを検討します。
報酬の未払いと無断使用は「二重の違反」
報酬が支払われていないにもかかわらず、成果物(例:Webサイトやデザインデータなど)を使われている場合は、「著作権侵害」にも該当する可能性があります。
この場合、使用停止の通知を送り、場合によっては不正使用に対する損害賠償請求も検討可能です。
ドメインやサーバーが自分で管理されている場合は、支払いがない限り契約違反として公開を一時停止するのも法的には可能です(ただし契約書に基づき、慎重に対応)。
裁判に勝てる可能性とそのポイント
以下の証拠がそろっていれば、勝訴の可能性は高いです。
- 仕事の依頼内容や合意金額に関する記録(チャット、メモ、録音など)
- 完成品の納品履歴(メール送付、アップロード記録など)
- 請求書や振込口座の提示記録
報酬額の変更も、打ち合わせ時に同意していたことが明示されていれば有効です。「仕事量の増加に応じて料金も増えた」ことが説明できる資料を用意しましょう。
まとめ:泣き寝入りしないために、今できること
少額訴訟は、フリーランスが自分の権利を守るための有効な手段です。相手の住所を特定し、証拠を整理すれば、個人でも十分に戦えます。
泣き寝入りせず、必要な手続きを踏んで正当な報酬を取り戻すことで、これからの活動にも自信が持てるようになります。自分の価値と時間を守るためにも、まずは一歩踏み出してみましょう。