借金を長期間滞納してしまった場合、給与の一部が差押えられることがあります。例えば、月収10万円や5万円であっても、法的な手続きにより一定額が強制的に差し引かれることがあります。では、生活が困難になるほどの差押えが行われたとき、それを取り戻すことはできるのでしょうか？この記事では、差押え後のお金を取り戻せる可能性や、裁判所への申立て方法などを詳しく解説します。
給料差押えの仕組みと範囲
給料差押えは、債権者が裁判所に申し立てて認められた場合に執行される法的手続きです。民事執行法では、給料の4分の1までを差押え可能と定めており、残りは生活費として保護されます。
ただし、給与の額が少ない場合でも一定割合は差押え対象となるため、生活に大きな影響を及ぼすケースがあります。たとえば、月収10万円でも最大2万5千円が差し引かれる可能性があります。
差押えられたお金は取り戻せるのか？
原則として、差押えられたお金は戻りません。一度執行された差押えは、債権者の権利として確定しているため、通常は取り消しや返金を受けることは難しいのが現実です。
ただし、「差押禁止債権」の範囲を超えていた場合や、明らかに生活を維持できないほどの金額が差押えられた場合には、裁判所への申立てにより一部解除が認められる可能性があります。
生活苦を理由に裁判所へ申し立てる方法
生活が困窮していることを理由に差押えの一部免除を求める場合、「執行抗告」や「執行停止」「一部取消しの申立て」といった手続きをとることが考えられます。
この際には、家計簿や給与明細、生活費明細などを添えて、裁判所に「生活に必要な最低限の金額が差し引かれている」ことを具体的に説明する必要があります。弁護士に相談することで申立書の作成をサポートしてもらうことも可能です。
実際のケースと差押え解除の例
例えば、非正規雇用のシングルマザーが月収12万円のうち3万円を差押えられ、家賃や保育費が払えなくなったケースでは、裁判所が一部差押えの停止を認めた例があります。
また、病気療養中の高齢者が年金とパート収入を合算して10万円しかない中で、2万5千円の差押えが行われた際にも、「差押禁止債権」の範囲外として取り消しが認められました。
差押えを避けるためにできること
差押えが執行される前に、できるだけ早く債権者と交渉し、分割払いの合意や、債務整理（任意整理・個人再生・自己破産）などを検討することが重要です。
法テラスなどの無料法律相談を利用することで、収入状況に応じた適切なアドバイスが受けられます。差押え後の対応より、差押え前の対策の方がずっと有利で柔軟に動けます。
まとめ：差押えられた後でも諦めないで
給与差押えが実行されても、状況によっては一部解除や返還が可能な場合もあります。ただし、戻ってくる可能性は限定的であり、裁判所の判断を得る必要があるため、すぐに対応できるとは限りません。
「生活が成り立たない」という具体的な根拠を示すことが差押え解除のカギです。生活に困窮しているなら、迷わず弁護士や法テラスなどの専門機関に相談しましょう。