物損事故から人身事故に切り替えられない?ドアミラー接触でも慰謝料を請求するための現実的対応策

交通事故で明らかに相手に過失があるのに、人身事故として認められず、慰謝料の請求もできない――こうしたケースは少なくありません。特に「ドアミラー接触のみ」などの軽微な事故と見なされやすい場合は、警察や保険会社の対応が限定的になりがちです。本記事では、物損扱いから人身事故への切り替えができない理由や、慰謝料請求の可能性を残すための具体的なステップを解説します。

物損事故と人身事故の違い

交通事故は、「物損事故」「人身事故」に分類されます。物損事故はケガ人がいない、または警察がケガを認めていない場合に分類され、加害者には行政処分が科されません。一方、人身事故として扱われると、加害者に違反点数や罰則が加算され、刑事責任や民事責任の対象にもなります。

人身事故に切り替えるには、原則として医師の診断書を警察に提出し、警察署が「傷害があった」と認定する必要があります。

診断書を提出しても人身に切り替わらない理由

診断書を提出したにもかかわらず、警察が人身事故への切り替えを拒否する背景には以下のような事情があります。

  • 診断書に「交通事故による負傷」の明記がない
  • 受診日が事故から日数が経過している(一般的に10日以上空くと因果関係が否定されやすい)
  • 受傷内容が軽微で、事故との関連性が薄いと判断された

本件のように、事故3日後に「整形外科で診察を受けた」が「事故と伝えなかった」場合、医師の診断書に交通事故との因果関係が記載されず、人身事故認定が困難になることがあります。

慰謝料請求の可能性を高めるには

相手の保険会社や自分の弁護士特約が動かない場合でも、以下のような対応で慰謝料請求の可能性を残すことができます。

  • 診断書の再作成依頼:通院した医療機関に交通事故が原因であった旨を説明し、交通事故との因果関係が明記された診断書を再発行してもらう
  • 交通事故証明書の用途変更:「物損」から「人身」へ用途を変更し、保険会社へ人身事故扱いでの交渉を依頼
  • 弁護士の直接交渉:弁護士特約を利用して、弁護士が保険会社と交渉することで、自費通院分や慰謝料の請求可能性が高まる

また、診断書が既に警察に提出されており、形式的に不備がなければ、人身事故への切り替えは拒否できないという判例的解釈も存在するため、行政処分の有無に関わらず、警察署に再確認を求めることも一つの手段です。

ドアミラー接触でも慰謝料は請求できるのか?

接触の程度が軽微であっても、怪我を負っている事実と医師の診断書があれば、原則として慰謝料請求の権利はあります。ただし、相手保険会社が「因果関係なし」と主張することが多いため、証拠と交渉が重要です。

過去には「バンパー接触だけだったが、むち打ちで通院していたことが証明され、慰謝料を一部認定された」事例もあり、事故の態様よりも「怪我の有無と証明力」が重視される傾向にあります。

今からできる現実的な対応策

  • 通院先の医師に「事故による怪我である」旨の意見書や診断書の修正・補足を依頼
  • 警察署へ再訪問し、診断書再提出と人身事故切り替えの意思を明確に伝える
  • 自費通院分の明細・領収書を整理し、弁護士特約を使って弁護士に相談
  • 事故当日の記録(写真・通話・相手車両情報など)を改めて整理

また、切り替えのタイミングや交渉の仕方次第では、交通事故証明書の用途を「人身用」に変更できる可能性もあります。

まとめ:人身事故切り替えと慰謝料請求は「因果関係の証明」が鍵

ドアミラー接触といった軽微な事故でも、怪我が発生し医師の診断がある場合は、人身事故扱いや慰謝料請求が可能です。ただし、通院の時期・診断書の内容・警察への対応などに注意が必要で、すぐに諦めるべきではありません。

適切な再通院や医師からの補足診断、弁護士特約の活用などにより、今からでも交渉の余地は十分あります。泣き寝入りせず、冷静かつ戦略的に対応していきましょう。

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