自動車事故を起こしてしまった際、相手車両に乗っていた全員が通院していると知って驚く方も多いのではないでしょうか。「たいした事故ではない」と感じていても、被害者側が通院していることで保険金が支払われる可能性は十分にあります。本記事では、相手に複数人のけが人が出た場合の保険の仕組みや、加害者の免許停止の可能性について詳しく解説します。
通院者が3人いても保険で補償されるのか?
はい、自賠責保険・任意保険の双方で補償される可能性があります。自動車保険の仕組みでは、「事故でケガをした人数 × 通院日数や診断内容」に応じて補償額が決まります。
たとえば、相手車に3人乗っていた場合、3人それぞれに「通院慰謝料」「治療費」「交通費」などが支払われる仕組みになっています。1人につき最大120万円までが自賠責保険の範囲内で支払われます。
したがって、たとえ軽傷やむち打ちのような症状であっても、3人全員が通院していればそれぞれの補償が発生します。
「たいした事故じゃない」でも相手が通院していれば補償対象
加害者側としては「見た目の損傷が小さい」などと軽く感じてしまうこともありますが、事故後の体調変化やむち打ち症状などは数日~数週間後に発生するケースも多いです。
被害者が「首が痛い」「腰に違和感がある」といった症状で整形外科に通院すれば、保険会社はその診断内容に応じて支払いを行います。これを「通院慰謝料」や「治療費補償」として扱うため、本人の感じ方にかかわらず保険が適用されるのです。
免許停止になる可能性は?事故の内容と行政処分の関係
事故の内容によっては、加害者に対して免許停止処分(いわゆる「免停」)が下る可能性があります。警察の判断や行政処分の点数制度に基づいて処分が決定されます。
事故の状況により、次のような点数が加算される可能性があります。
- 物損事故のみ:加点なし
- 人身事故(軽傷)1名:3点
- 人身事故(軽傷)3名:6点前後
- 過失が大きい・信号無視・携帯使用などがあれば加算
一般的に免許停止の基準は6点以上(初回の場合)ですので、3人が人身扱いになった場合には免停の可能性が出てきます。過去に違反歴がある場合や累積点数が多い場合は特に注意が必要です。
通院人数や診断内容が不明でも焦らず確認を
加害者にとって不安なのは、「相手が本当に通院しているのか」「誇張していないか」などが分からない点でしょう。しかし、保険会社が間に入っており、診断書などの医療情報を元に支払額が決まるため、不当に水増しされた請求は基本的に通りません。
不安な場合は、自分の保険会社に「現在の対応状況」「通院者数」「人身扱いか物損扱いか」などを確認しましょう。警察が人身事故として処理したかどうかも重要な判断材料になります。
事故後の対応で免停や保険料への影響を最小限に
- ① 保険会社への早期連絡:事故当日〜翌日までには必ず連絡を
- ② 警察への届け出は確実に:人身事故か物損事故かの確認が重要
- ③ 加害者としての謝罪・誠意ある対応:誠意を見せることで相手の印象が変わる場合もあります
- ④ 今後の運転はより慎重に:再違反があれば一発で免許取消もあり得ます
事故歴は記録に残るため、保険料が次年度から上がる(等級が下がる)ことも避けられません。ただし、任意保険に加入していれば相手方への賠償はカバーされるので、経済的負担は抑えられます。
まとめ:通院人数が多くても保険は正しく適用される、免停の可能性は事故状況次第
交通事故で相手車両に複数人が乗っていた場合でも、保険制度上は1人ずつ補償が行われます。通院者が3人いれば、それぞれに慰謝料などが支払われるのは自然な流れです。
「たいした事故じゃない」と思っても、通院しているなら人身扱いとなり、加害者側は免許停止の可能性もあります。焦らず、保険会社や警察に確認を取りながら、冷静に対応することが最善策です。
何より今後の運転には十分注意し、再発防止に努めましょう。