開示請求後の発言や煽りが裁判で不利になることはある?法律的な視点で解説

インターネット上での発言がトラブルに発展し、発信者情報開示請求や訴訟に進むケースが増えています。そんな中、「相手に煽られたから」「売り言葉に買い言葉で応酬した」というやりとりが後の裁判にどのように影響するのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

■開示請求とその後の言動は別の問題として扱われる

発信者情報開示請求は、名誉毀損やプライバシー侵害などの不法行為に該当するかどうかを判断するために行われる手続きです。この段階で相手に対する挑発的な発言をしても、開示そのものの可否には原則関係しません

ただし、その後に民事訴訟に発展した場合、言動の全体像が証拠として注目されることがあります。

■挑発や煽りは「信用性」「心証」に影響する可能性がある

日本の民事裁判では、証拠に加えて裁判官の「心証」(当事者の態度や一貫性)も判断に影響します。

たとえば、「開示請求後に煽り返すような発言をしていた」ことが記録に残っていれば、誠実な訴訟態度とは言い難く、損害賠償額が抑えられるなどの影響も考えられます。

■判例にも見る「態度」が評価される場面

実際の名誉毀損訴訟では、被告の謝罪の有無や反省の態度が損害賠償額に反映された判例が複数存在します。

例えば、SNS上で侮辱的な投稿をした被告が、開示後も反省の色なく攻撃的な発言を続けたケースでは、「被告の態度が悪質」として慰謝料が増額された事例があります。

■一方的な発言でも「応酬」によって中和されることも

逆に、原告側にも過激な言動がある場合、被告の責任が軽く評価されることもあります。
たとえば、原告が先に煽り発言をしていたと証明できれば、被告の発言が「感情的な応答の範囲」として限定的に評価される可能性があります。

このように、両者のやりとりの全体像が重要になることもあるため、一方的な被害者意識だけで判断されるわけではありません。

■煽り発言が刑事事件に波及する可能性

民事訴訟とは別に、悪質な挑発行為が「脅迫罪」や「侮辱罪」に発展するケースもあります。開示請求後に相手を罵倒するような発言が拡散された場合、逆に自分が被告になるリスクもゼロではありません。

近年の法改正により侮辱罪も厳罰化されており、インターネット上での発言には慎重さが求められます。

■まとめ:挑発的発言は裁判で不利に働く可能性がある

開示請求そのものには直接影響しなくても、その後の煽りや挑発的な言動は裁判官の心証、損害賠償額、あるいは別訴訟への波及に影響を及ぼすおそれがあります。

不当な書き込みに対して正当な手続きを踏むのであれば、言動は慎重に、冷静に対応することがベストです。逆に煽り返すことで自らの立場を不利にするリスクを避けるよう心がけましょう。

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