交通事故による大腿骨骨折は、後遺症として痛みや可動域制限が残る可能性が高く、場合によっては後遺障害等級の認定対象となります。しかし、認定の可否や等級は通院状況や症状の程度、医学的証拠の有無など様々な要素に左右されます。本記事では、大腿骨骨折後に後遺障害認定を受けるためのポイントや注意点をわかりやすく解説します。
大腿骨骨折は後遺障害等級認定の対象になるのか?
大腿骨骨折は後遺障害等級の対象となる可能性が高い傷病の一つです。特に、骨折部にプレートやボルトが残存していたり、可動域制限や慢性的な痛みが続いている場合には、12級や14級に該当することがあります。
主な認定基準としては、関節の可動域制限、神経症状(しびれや痛み)、骨の変形や人工物の残存などが挙げられます。
通院期間・頻度はどの程度影響するのか?
後遺障害の認定では、通院期間そのものよりも症状固定までにどれだけ医学的根拠が積み重ねられたかが重要です。通院回数が少なくても、継続的な通院と医師の診断書が揃っていれば、認定の可能性は十分あります。
実際に「1年程度の通院」「通院回数15回未満」でも、痛みや運動制限が残っていることが医学的に証明できれば14級の認定が下りた例もあります。
ボルトやプレートが残っている場合の等級目安
骨折後にボルトやプレートなどの固定具が体内に残っている場合、それ自体が障害と見なされることがあります。特に「抜去予定なし」で、今後も違和感や機能障害が残る場合は12級相当と判断される可能性が高くなります。
ただし、単に「入っている」というだけでは足りず、日常生活や仕事にどの程度支障があるかを示すことが必要です。
後遺障害診断書と可動域検査がカギ
後遺障害認定において最も重要なのが、主治医による後遺障害診断書と可動域測定結果です。認定の成否はこの診断書の内容に大きく依存します。
診断書には、
- 可動域(健側との比較)
- 痛みの頻度・程度
- 生活や就労への影響
- 神経学的異常所見(しびれなど)
といった項目が丁寧に記載されることが望ましく、整形外科での客観的な検査結果も添付しておくと有利になります。
等級の目安と過去の事例
以下は大腿骨骨折に関連する主な等級の一例です。
等級 | 症状の目安 |
---|---|
12級 | 股関節・膝関節の可動域が健側の2分の1以下、もしくはプレート等の金属が残っている状態で障害が継続 |
14級 | 痛みや違和感が継続し、日常生活に軽度の支障を来しているが、可動域制限が軽度 |
非該当 | 自覚症状はあるが、医学的所見が乏しいまたは日常生活に支障が見られない場合 |
たとえば、「日常的に痛みがあり、階段や重い荷物を持つのが困難」という症状に対して14級が認定された事例もあります。
認定を目指すなら専門家のサポートも視野に
後遺障害等級認定を受けるには、医学知識と保険制度への理解が必要になるため、弁護士や行政書士などの交通事故専門家に相談することも有効です。
専門家は、診断書のチェック、症状の整理、異議申し立ての手続きまでサポートしてくれるため、自力で申請するよりも成功率が高くなる傾向があります。
まとめ:後遺障害の認定には準備と根拠が不可欠
大腿骨骨折後に残る痛みや可動域制限は、後遺障害等級認定の対象になり得ます。ポイントは「通院頻度」よりも「症状固定までの医学的根拠の積み重ね」にあります。
ボルトの残存や慢性的な痛みがある場合は、早めに医師に相談し、後遺障害診断書の準備を進めるとともに、必要に応じて専門家の力を借りることが重要です。