インターネットや電話を通じた電力契約のトラブルが年々増加しています。特に「申し込みボタンを押していない」「確認メールも届いていない」のに、突然請求書や督促が届くと混乱してしまうものです。本記事では、そうした状況に直面した際の法的な考え方や、実際に取るべき行動について詳しく解説します。
契約の成立とは?申し込みボタンを押さなければ契約ではない?
民法上、契約は「申込み」と「承諾」により成立します。通常、Web上では「申し込み完了ボタン」を押すことで申込みが成立し、それを事業者が承諾することで契約が成立します。
したがって、明確に「申し込みボタンを押していない」「契約確認メールも届いていない」のであれば、法律上の契約成立とはみなされない可能性が高いです。
オペレーターとの通話内容も証拠になる
オペレーターとの通話で「申し込み完了ボタンを押していなければ申し込んだことにならない」との説明があった場合、それは重要な証拠になります。通話内容が録音されている場合や、内容を記録していた場合は、トラブル時に活用できます。
また、電話で一方的に「契約が成立している」と主張されても、口頭でのやりとりだけでは契約が成立したとは限りません。
供給実績がないのに請求が届くのはなぜ?
電気が実際に供給されていない(=電気を使っていない)にも関わらず請求が届くケースもあります。これは、事業者が契約が成立していると誤認したままシステム処理が進行し、料金請求が自動的に行われている可能性があります。
この場合、「供給実態がない」ことと「契約が成立していない」ことの証明が重要になります。
弁護士委託前通告が来た場合の対応方法
弁護士委託前通告とは「今後法的措置に移行する可能性がある」と知らせる書面です。これを受け取ったからといって、すぐに訴訟になるわけではありません。まずは冷静に対応しましょう。
対応のステップ。
- 請求書や通告書の内容を保管
- これまでのやりとり(メール、通話メモなど)を整理
- 事業者に対して書面で内容証明郵便などを使って「契約不成立」と「供給実態がない」旨を明確に通知
- 不安な場合は消費生活センターや法テラスなどに相談
支払ってしまうと「契約を認めた」ことになる恐れも
少額だからといって安易に支払ってしまうと、「契約が存在した」と相手に主張されるリスクがあります。支払う前に、自身の契約成立状況と供給状況を冷静に確認し、正当な根拠がある場合は毅然と拒否しましょう。
万一、誤って支払ってしまった場合でも、後から契約が無効であると証明できれば返金請求が可能な場合もあります。
まとめ:契約の有無と供給実態がカギ、証拠の保存が重要
今回のようなケースでは、「契約が成立していない」「供給も行われていない」という2点がポイントです。申し込み完了の操作をしていないことや、電気の使用がなかったことを裏付ける資料を集め、適切に主張していきましょう。
また、同様のトラブルは他の電力会社でも発生しているため、今後契約する際は必ず契約完了メールや利用開始日を確認し、トラブルを未然に防ぐよう心がけてください。