風営法の対象となる事業を運営する際、従業員の名簿管理は法令上の義務として非常に重要です。中でも「本籍地入りの住民票を用意する必要がある」という点について、原本の提示だけで良いのか、コピーでの保存が認められるのか疑問に思う方も多いでしょう。本記事では、その疑問に答えるべく、法令や実務上の取扱いに基づいて詳しく解説します。
風営法と従業員名簿の義務とは
風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)第36条および関係する警察庁令では、従業員名簿の作成および備え付けが義務付けられています。さらに、各従業員の本人確認書類として「住民票(本籍・続柄入り)」の添付も求められることが一般的です。
これは、採用時に18歳未満や日本国籍の有無等を確認し、違法雇用を防ぐことを目的としています。
住民票のコピーは有効なのか?
結論から言うと、住民票のコピーでも保存は可能とされているケースがあります。ただし、これは都道府県によって運用が異なるため、必ず事前に所轄の生活安全課に確認する必要があります。
警察署によっては「住民票の写し(原本)」の提示は義務としつつ、保存用としては「コピー可」とするところもあれば、「原本の保管が必須」とするところも存在します。
実務上の推奨対応と注意点
一般的に推奨される対応は以下の通りです。
- 住民票(本籍入り)を本人から原本で取得してもらう
- 本人確認後、コピーを名簿に添付し、原本は返却する
- コピーの裏に「原本確認済」と記載し、管理者印を押す
- 保存期間(従業員退職後3年間)を厳守する
特に「本籍地の記載があること」「発行後3か月以内のものであること」などの細かい要件を満たしていない住民票は無効となる恐れがあるため、注意が必要です。
都道府県別の取扱い例
例えば、東京都や大阪府では、コピーでの保存も比較的柔軟に認められていますが、愛知県や福岡県など一部の地域では原本保存を求められるケースもあります。
そのため、警視庁や各都道府県警察本部の風営法担当窓口に問い合わせることが、安全な対応につながります。
風営法違反のリスクを防ぐために
従業員名簿や住民票の管理不備は、立入検査の際に営業停止や行政指導の対象となることもあるため、甘く見てはいけません。
特に風俗営業は、社会的にも法令遵守の姿勢が強く求められる業種です。書類の整備・保存・更新を適切に行うことは、法的リスクを減らすとともに、事業者としての信頼性向上にもつながります。
まとめ:コピー対応は可能だが事前確認がカギ
風営法における従業員名簿の住民票添付については、「コピーでの保存」が可能なケースも多いですが、原本確認を行い、所轄警察署に運用を確認することが前提です。
リスクを未然に防ぐためにも、提出・保存ルールを明確にし、必要な法的要件を満たした書類管理を徹底しましょう。