交通事故の慰謝料や治療費が自賠責保険の上限である120万円を超えた場合、被害者が損をするのではないかと感じる方も少なくありません。特に「減額」「0.75倍」という計算に疑問を抱く声も多く見られます。本記事では、その計算の根拠や補償範囲、そして駐車場代のような実費がどう扱われるのかを詳しく解説します。
自賠責保険には上限がある:120万円を超えたらどうなる?
自賠責保険は、人身事故の被害者に最低限の補償を行うことを目的としています。被害者1人あたりの限度額は120万円で、この中に治療費・通院交通費・慰謝料・診断書費用など全てが含まれます。
たとえば治療費と通院交通費が合計90万円かかった場合、慰謝料に充てられるのは残りの30万円までとなり、それ以上は加害者側の任意保険に請求するか、示談交渉で個別に話し合うことになります。
慰謝料計算式と「×0.75」の意味とは?
慰謝料は自賠責基準で「1日4,300円 × 対象日数」で計算されます。対象日数は以下の2通りのうち少ない方です。
- 治療期間の実日数
- 実通院日数×2
そして、「×0.75」というのは、任意保険会社が自賠責の満額支払いではなく、独自の算定基準(任意保険基準)で慰謝料を75%相当とする場合に使われるケースが多いです。これは保険会社側の判断で減額されることがあります。
示談交渉の際にこのような計算になる場合、納得がいかない場合は弁護士や交通事故相談窓口を通じて異議を申し立てることも可能です。
駐車場代などの通院にかかる実費は請求できる?
自賠責保険では通院に必要な実費(ガソリン代・高速料金・バスや電車代・駐車場代など)も「通院交通費」として補償対象です。ただし、支払われるのは「必要かつ妥当な費用」と判断された分のみであり、明細書や領収書の提出が求められます。
つまり、駐車場代も領収書があれば請求可能です。ただし、120万円を超えてしまった場合、その費用が優先して支払われるとは限らず、慰謝料や他の費用とのバランスの中で処理されることになります。
自賠責を超えた分はどうする?
自賠責の120万円を超える分については、加害者側の任意保険へ請求することで補償されるのが一般的です。その際は、できるだけ詳細な支出明細や領収書、診断書などの証拠を提出することが大切です。
また、保険会社との交渉で納得がいかない場合には、交通事故に強い弁護士に相談することで、裁判基準(もっとも高額な基準)での慰謝料請求も可能になります。
まとめ:慰謝料の減額に疑問があるなら納得できるまで説明を求めよう
慰謝料が減額されたり、「×0.75」といった計算が用いられる理由には、自賠責や任意保険の基準が関係しています。駐車場代などの実費も原則として補償されますが、総額が上限を超えると支払い対象から漏れる場合もあります。
納得できない場合は、保険会社に詳細な説明を求めたり、法テラスなどの無料相談窓口や弁護士を通じて正当な補償を求める手段を検討しましょう。