自動車を運転中に猫などの動物と接触してしまった場合、「交通事故」として警察に届け出るべきかどうか迷う方も多いかもしれません。実際の対応は動物の種類や状況によって異なり、法的な義務やマナーも絡んでくるため、正しい知識が求められます。
猫や犬をひいたときに届け出は必要?
日本の道路交通法では、「交通事故が発生した場合、運転者は速やかに警察に届け出なければならない」と定められています。ただし、この「交通事故」の定義には、人または「器物」に損害が生じた場合が含まれます。
ここで注目すべきは、犬や猫などの「動物」も、法律上は「物(器物)」として扱われる点です。そのため、猫をひいてしまった場合でも、基本的には物損事故として届け出義務が生じるというのが法の建前です。
飼い主の有無で対応が変わる?
猫や犬が「飼い猫」「飼い犬」である場合、飼い主の財産である動物を傷つけたことになります。これは民法上の損害賠償の対象にもなりえるため、必ず警察に連絡し、事故証明を取得することが望ましいです。
一方で、野良猫のように所有者が明確でない場合には、届け出が行われないケースもあります。ただし、野良猫かどうかはその場で判断が難しいため、事故後は基本的に届け出をしておくのが無難です。
警察の対応が軽い?それでも届け出の意義は大きい
記事冒頭のように、警察官が「猫くらいでなぜ届けたのか」と言ったケースもありますが、それは法律の運用ではなく、個人の認識による対応の差です。法的には届け出るべきケースであり、対応が軽視されたとしても記録を残すことには意味があります。
特に近年は、動物愛護の観点からも、ひかれた動物の扱いには社会的関心が高まっており、「通報したこと」自体が誠意ある行動とみなされる場合も多いです。
ドライブレコーダーの活用と事故証明の取得
事故時には、ドライブレコーダーの映像を保存しておくことで、警察への報告時に役立ちます。加えて、万が一、後に飼い主が名乗り出た場合でも、記録があることで責任の所在を明確にできます。
また、事故証明を取っておくことで、任意保険の動物対物補償(特約)などの適用を受けられるケースもあります。
事故後にやるべき行動まとめ
- 安全を確認し車を停車
- 動物の様子を確認し、可能であれば移動
- 警察へ通報(110番)
- 飼い主が分かる場合は連絡、分からなければ警察に報告
- ドライブレコーダーの保存と事故証明書の取得
これらを行うことで、責任の所在を明確にし、後のトラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ:動物との接触事故でも適切な対応を
たとえ相手が動物であっても、事故は事故です。届け出をしないことがトラブルの元となる可能性もあるため、原則として警察への報告は行うべきと考えるのが無難です。法律とモラルの両面からも、正しい行動が求められる場面です。