家庭内暴力(DV)に関する事件では、警察による捜査だけでなく、その後に検察庁が関与する流れがあります。被害者側であっても、検察庁から呼び出されることは珍しくなく、今回の記事ではその理由や背景、注意点について詳しく解説します。
DV事件と検察庁の役割
DVなどの刑事事件において、警察は事件の初動対応と捜査を行いますが、最終的な処分は検察庁が判断します。検察官は起訴・不起訴の判断を行うため、被害者からの証言や証拠を直接確認したい場合、呼び出して話を聞くことがあります。
これは被害者を疑っているわけではなく、事件を正確に理解し、適切に処分を決定するための通常の手続きです。
検察庁からの呼び出しがあるケースとは?
以下のような場合に検察庁から被害者への呼び出しが行われることがあります。
- 事件の内容が複雑で、詳細を直接確認する必要がある
- 加害者側が一部事実を否定している
- 被害者の証言に重要な意味がある
- 被害者にも何らかの暴力があったと加害者側が主張している
今回のように、「ショルダーバッグを引っ張って相手が転倒した」といった行為があった場合、検察側が事実確認のために被害者の行為についても確認したいと考えることは十分あり得ます。
検察庁での聴取はどのように進むのか?
呼び出しを受けた場合は、指定された日時に検察庁へ出向く必要があります。担当の検察官が、事件発生の経緯や状況について、丁寧にヒアリングを行います。
恐れる必要はありませんが、正確な記憶に基づいて事実を冷静に説明することが重要です。証拠となる資料(診断書、LINEのやり取りなど)があれば持参しておくとスムーズです。
「自分も加害者」と見なされる可能性はあるのか?
加害者が「被害者に押された」「転倒させられた」などと主張した場合、双方の行為について調べる必要が生じます。ただし、正当防衛ややむを得ない行為であることが明らかであれば、被害者が処罰の対象となることは基本的にありません。
特に、DVの発端が加害者側にある場合、被害者の行動が限定的で防衛的であったと判断されるケースが多いです。検察庁の聴取は、そのような点を確認するために行われるのです。
生活が苦しい中での対応に不安がある場合
生活保護受給中であるなど、金銭的・精神的な余裕が少ない中での法的対応はとても不安になるものです。そうした場合には、ケースワーカーへの相談を優先し、同行を依頼することも可能です。
また、各地の法テラス(日本司法支援センター)では、無料で法律相談を受けることができます。検察庁での聴取の前に不安を和らげる意味でも、こうした支援機関を積極的に活用しましょう。
まとめ:呼び出しの背景を知り、冷静に対応を
検察庁からの呼び出しがあると不安になりますが、それは事件を適切に処理するための一環であり、被害者の立場が危うくなるわけではありません。自身の行動を冷静に説明し、必要に応じて支援を受けながら臨むことで、心身への負担を軽減することができます。
DV事件は繊細な問題ですが、正しい知識とサポートを得ることで、少しずつでも安心できる方向に進めることができます。