物語や小説のネタづくりとして「現実ではありえない状況や行動」について調べることは、創作者にとって日常的なことかもしれません。しかし、質問内容によってはネット上で大きな誤解やトラブルを招くこともあります。特に「大量殺人」などの極端なテーマを扱う場合は、慎重な姿勢が必要です。本記事では、創作目的であっても問題視される可能性がある質問内容と、法的・社会的な注意点を解説します。
創作目的でも“発言”の仕方によっては違法・通報対象になる
現行法において、「○○をどうやったら効率的に実行できるか?」という発言は、たとえそれがフィクションの取材・創作目的であっても、場合によっては脅迫罪・予備罪・予告罪などに抵触する恐れがあります。
特に以下のような発言には注意が必要です。
- 具体的な手段・場所・人数などに言及した場合
- 「やってみたい」「計画中」といった印象を与える書き方
- 公的空間(SNSやQ&Aサイトなど)での不用意な質問
仮に意図が「創作のため」であっても、相手がそれを正確に受け取る保証はなく、警察やサービス運営者が通報・対処する可能性もあります。
“聞くだけ”でも通報される可能性がある理由
現代社会では、事件の予兆がネット上に表れることが増えています。そのため、警察やサイト運営者は「未然防止」の観点から、疑わしい投稿には即対応する傾向にあります。
通報者も「本気か冗談か判断できない」状況ではリスク回避を優先します。つまり、聞いただけでも“意図の疑い”を受ける可能性があるというのが実情です。
創作者が安全に取材・調査するにはどうすべきか?
以下の方法を活用することで、リスクなく創作のための調査を進めることが可能です。
- 書籍・論文・報道資料を参考にする(例:事件分析書・心理学書)
- 大学・法学系研究機関の資料や過去判例を活用
- 「創作のための相談です」と明確に前置きし、過激な表現は避ける
- 専門家(警察OB・弁護士・心理学者)にインタビューする
フィクションであっても、公共の場で不用意な表現を避け、「創作である」ことを明示しつつ、具体的すぎる内容を伏せる配慮が求められます。
過去の事例から見る“創作目的”と誤解の境界線
過去には以下のような事例も報告されています。
- ライトノベル作家志望者が「毒物の手に入れ方」を調べていて警察に事情聴取された例
- SNS上で「銃の密造について教えて」と投稿→通報されアカウント凍結
これらは実行意志がなくとも「社会的不安」を与えたと判断され、対応されたケースです。
まとめ
・創作のための調査でも、「内容」「場所」「文脈」次第では通報対象になる
・ネットでは“意図”が伝わらず、誤解されやすい構造がある
・調査は書籍・専門家・信頼ある資料に頼るのが安全
・発言は常に「相手にどう受け取られるか」を意識する必要がある
創作は自由である一方、公共の場で発言する以上、社会的責任も伴います。伝え方・聞き方に配慮しながら、安心・安全な物語づくりを目指しましょう。