交通事故によって大けがを負った場合、治療費や手術費用などの実費はもちろん、精神的苦痛に対する「慰謝料」が支払われる可能性があります。特に骨折などで手術や入院を伴ったケースでは、慰謝料の額も高額になることが一般的です。本記事では、年金生活者の方を含め、交通事故に遭った際の慰謝料の仕組みと相場、注意点についてわかりやすく解説します。
慰謝料とは?その目的と分類
慰謝料とは、交通事故などによって受けた精神的な苦痛に対する損害賠償の一つです。特に自転車や歩行者が加害車両に衝突された場合、被害者は「人身損害」として慰謝料を請求できます。
慰謝料には主に以下の3つがあります:
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
この記事では「入通院慰謝料」について重点的に取り上げます。
骨折・手術が伴う場合の慰謝料相場
一般的な入通院慰謝料の相場は、以下のように計算されます。
例えば、自賠責基準では、1日4,300円を上限に、入通院日数の実日数または治療期間×2のいずれか少ない方で算出されます。
例: 90日通院した場合 → 90日 × 4,300円 = 387,000円(上限)
ただし、自賠責よりも高い「任意保険基準」や「弁護士基準(裁判所基準)」で交渉すれば、同じケースで50万円〜70万円以上になることもあります。
ボルト挿入・抜去手術がある場合の影響
ボルトを入れる外科手術を伴う場合、通常よりも症状の重さや治療期間の長さが認められやすく、慰謝料が増額される傾向にあります。
特に「1年後にボルト抜去手術を行った」という事情がある場合、再び通院を伴うため治療期間が延長される点も加味され、合計で100万円〜150万円程度の慰謝料が提示されるケースも報告されています。
年金生活者の場合の注意点
年金生活者であっても、慰謝料の額には職業や収入の有無は基本的に関係ありません。労働による休業補償は発生しないかもしれませんが、精神的苦痛に対する慰謝料は誰にでも等しく発生する権利です。
「仕事を休んでないから慰謝料が少ない」ということはありません。あくまで「怪我の程度」と「治療期間」が判断材料になります。
保険会社の提示額は低め?弁護士相談のすすめ
保険会社からの初回提示額は、しばしば自賠責基準に近い最低ラインになっていることが多いです。交渉の余地がある場合は、弁護士に相談することで、最大で2倍以上の増額が認められたという例もあります。
最近は、弁護士ドットコムや交通事故専門の無料相談窓口も多数ありますので、慰謝料の金額に不安がある場合は早めの相談が安心です。
まとめ:慰謝料は泣き寝入りせず、正しく受け取る
自転車で事故に遭い、骨折から手術に至った場合、慰謝料の金額は決して小さくありません。保険会社任せにせず、自分でも調べたり、必要に応じて弁護士など専門家の力を借りることで、適切な補償を受け取ることが可能です。
事故の被害に遭ったあなたの身体と心への補償は、正当に主張して初めて得られるものです。