全赤信号の歩行者事故における過失割合とは?交通ルールと責任の考え方

信号機がすべて赤となるいわゆる「全赤時間」に歩行者が横断を開始し、車両と接触するような事故が起きた場合、どちらにどの程度の過失があるのかは多くの方が気になるポイントです。この記事では、全赤信号時の歩行者事故の法的責任や、過失割合の目安について詳しく解説します。

全赤信号とは?その仕組みと意味

交差点で一時的にすべての方向の信号が赤になる「全赤時間」は、安全確認や事故防止のために設けられています。特に歩行者用信号が赤から青に切り替わる直前の数秒間、車両も信号待ち中となるため、「今のうちに渡ってしまおう」と考える歩行者がいるのが現実です。

しかし、法律的には歩行者信号が赤であれば横断は禁止されています。たとえ他の車両信号も赤であっても、横断を開始することは信号無視に該当します。

事故が発生した場合の過失割合の考え方

過失割合は一概には言えず、事故状況や双方の動作、環境要因によって変わりますが、基本的な考え方として次のようになります。

  • 歩行者が赤信号で横断:歩行者に重大な過失あり。
  • 車両側に注意義務違反がある場合:たとえば徐行義務を怠ったなど。
  • このようなケースでは、歩行者と車両の過失割合は通常7:3〜9:1で歩行者に不利となります。

判例でも、「赤信号を無視して横断した歩行者がはねられた」事案では、歩行者側に70%以上の過失が認定されることが多い傾向にあります。

具体的な事故例と判例の紹介

ある地方裁判所の事例では、歩行者が信号が赤のうちに横断を始め、直進してきた車両と接触した事故で、歩行者80%:車両20%の過失割合が認定されました。裁判所は、歩行者が赤信号を見ていながら渡った点と、車両側が徐行していたことなどを総合的に判断しました。

別の事例では、交差点進入時の車両の速度が速かったとして、歩行者70%:車両30%とする判断も見られます。

歩行者として注意すべきポイント

信号が青になる前に横断を開始することは絶対に避けることが重要です。全赤時間があるからといって、歩行者側に安全が保障されているわけではありません。ドライバーも信号が変わるタイミングで注意力が緩むことがあり、事故のリスクが高まる瞬間です。

また、夜間や雨天など視認性が悪い状況では、ドライバーが歩行者を見落とす可能性が高いため、信号遵守と視認性確保が歩行者にとって重要な自己防衛となります。

車両ドライバーとしての注意点

ドライバーにとっても、全赤時間明けの青信号発進時には、歩行者の飛び出しに備えて一呼吸おいてから発進する慎重さが求められます。とくに横断歩道のある交差点では、赤信号にもかかわらず渡っている歩行者がいる可能性があるため、注意を怠らないことが重要です。

車両側にも歩行者を予測する義務があるため、見通しの悪い交差点や夜間の運転では過失割合が高まるリスクも理解しておくべきです。

まとめ:全赤信号時でも歩行者に過失が大きくなる可能性

信号が全赤となっている時間に横断歩道を渡り始めた歩行者が車両と接触した場合、歩行者に70〜90%の過失が認定される可能性が高いです。事故を防ぐためには、歩行者・ドライバー双方が交通ルールを正しく理解し、状況を見極めて行動することが求められます。

「ちょっとぐらい大丈夫だろう」という油断が大きな事故につながります。ルールを守ることで自分と他人の命を守る行動を心がけましょう。

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