横断歩道を手を上げて渡っていた歩行者が、停止義務のある車両と接触し、椎間板ヘルニアを発症。1年間にわたって通院治療を受けた場合、いくら補償を受け取れるのか、慰謝料や損害賠償の相場、保険会社の対応ポイントを詳しく解説します。
▼事故の状況と過失割合の基本
横断歩道上の歩行者には、道路交通法上で優先権があり、自動車側には一時停止義務があります。信号のない横断歩道で停止せず接触した場合、加害車両側の過失は100%になるケースが多いです。
この場合、歩行者側が負担する過失はなく、損害賠償請求は全額請求可能です。
▼椎間板ヘルニアによる通院1年|慰謝料の相場
交通事故での慰謝料は、自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士(裁判)基準の3つに分かれます。
- 自賠責基準:通院日数×4,300円(上限120万円)
- 弁護士基準:1年間通院なら100万~120万円が相場
椎間板ヘルニアで症状固定まで12ヶ月通院した場合、症状や頻度により80万〜150万円前後の慰謝料になるのが実務上の目安です。
例:月平均8回×12ヶ月=約96日通院 → 弁護士基準で110万~130万円程度
▼逸失利益と後遺障害が認定された場合
ヘルニアで痛みや痺れが残り、後遺障害14級(神経症状の残存)に該当すれば、以下の賠償項目が加算されます。
- 後遺障害慰謝料:110万円(裁判基準)
- 逸失利益:年収×労働能力喪失率5%×労働能力喪失期間(例:5年)
年収400万円の会社員の場合:400万円×5%×5年=約100万円
→ 合計で慰謝料+逸失利益=200万〜250万円の賠償金となる可能性もあります。
▼示談金全体の想定額
以下のような内訳になるのが一般的です。
項目 | 目安金額 |
---|---|
通院慰謝料 | 100万〜130万円 |
通院交通費・雑費 | 3〜10万円 |
休業損害 | 勤務状況により加算(数万〜数十万円) |
後遺障害慰謝料 | 110万円(14級該当時) |
逸失利益 | 約100万円(年収等による) |
合計:150万円〜300万円超が示談金として支払われる可能性があります。
▼実例とポイント:保険交渉で注意する点
相手保険会社は、初期提示を「自賠責基準」で行うことが多く、低額になる傾向があります。正当な賠償を受けるには、通院頻度・後遺障害の等級認定・弁護士介入が大きなカギです。
特に弁護士基準での請求は、自賠責基準より大幅に増額できるため、弁護士費用特約の活用も検討しましょう。
まとめ
横断歩道での事故で椎間板ヘルニアになり1年間通院した場合、慰謝料は100万円以上が相場です。後遺障害が残った場合はさらに増額され、総額で200万〜300万円台の賠償になるケースもあります。
適正な補償を受けるためには、治療の継続・通院証明の保存・症状固定の診断、そして弁護士のサポートが重要です。