現代ではSNSのダイレクトメッセージ(DM)が事件捜査において重要な証拠となるケースが増えています。特にネット上の誹謗中傷や詐欺、ストーカー被害などで、被疑者のアカウントや通信履歴の解析が行われることも。この記事では、警察がSNSのDMを調べるのにかかる期間や複数アプリにまたがる場合の調査体制について、わかりやすく解説します。
SNSのDM調査に必要な法的手続き
警察が個人のSNSのDMなどプライベートな通信内容を調査するには、令状が必要になります。たとえば、通信履歴やアカウント登録情報を取得するには通信履歴照会(通信履歴保存要請や送信者情報開示請求)などが行われます。
このような法的手続きを経るためには、ある程度の捜査の進展と「正当な理由(捜査の必要性)」が求められます。
DMの調査にかかる期間の目安
調査開始から情報の入手までの期間は、捜査の種類やSNS事業者の対応スピードにより異なります。一般的な目安は以下の通りです。
- 簡易的な照会(IPアドレスなど):2週間〜1ヶ月
- DM本文など内容開示:1〜3ヶ月
海外のSNS(Instagram、X、Metaなど)の場合、返答に数ヶ月以上かかることもあり、英語での照会文や法的整備が影響するケースもあります。
複数アプリを同時に調べることは可能?
原則として、捜査の必要性がある場合には複数アプリを同時に調べることは可能です。たとえば、LINE・Instagram・Xなど複数のSNSでやり取りがあったと見られるときは、各プラットフォームに並行して開示請求が出されることもあります。
ただし、捜査官の人数や業務の優先順位などにより、実務上はアプリごとに順次調査を進める場合もあります。
SNS事業者の協力体制の差
調査にかかる時間を大きく左右するのが、SNSプラットフォーム側の対応スピードです。たとえば。
- 国内事業者(LINEなど):比較的早期に開示されることが多い
- 海外事業者(Meta、X):数ヶ月以上かかる場合も
また、プライバシーポリシーの観点から、一定の条件を満たさない限り開示されない場合もあるため、情報の入手が難航することもあります。
例:ストーカー事件におけるSNS調査の実例
実際に起きたストーカー被害の事件では、被害者がLINEやInstagramで執拗なメッセージを受け取っていた例があり、警察がIPアドレス照会や開示請求を行い、約2ヶ月で特定に至ったケースもあります。
このように、事件性の高い場合は優先して迅速に調査が進む傾向があります。
まとめ:警察のSNS調査は迅速だが限界もある
警察がSNSのDMを調査するには法的な手続きを要し、国内・海外のサービスによって開示スピードが異なります。一般的には1ヶ月〜3ヶ月程度かかると見ておくと良いでしょう。複数アプリを同時に調査することも可能ですが、実務上の制約もあります。
被害や違法行為に巻き込まれた場合は、まずは速やかに警察に相談し、必要な証拠(スクショなど)を確保しておくことが重要です。