SNSを利用していて、誹謗中傷や嫌がらせ、なりすましなどの被害を受けたとき、被害者が警察や弁護士を通じて加害者を特定するために行われるのが「情報開示請求」です。この記事では、SNSの情報開示請求にかかる期間や手続きの流れ、そして複数SNSへの同時請求の可否について詳しく解説します。
SNS情報開示請求の基本的な流れ
SNSで被害を受けた場合、まずは証拠(スクリーンショットや投稿のURLなど)を保存します。次に、警察または弁護士へ相談し、必要に応じて刑事告訴または民事訴訟の準備を行います。開示請求は一般的に以下のような流れをたどります。
- 被害者が警察や弁護士に相談
- 警察や弁護士がSNS事業者にログの保存要請
- 裁判所に情報開示請求の仮処分または訴訟提起
- 裁判所が開示命令を出し、SNS事業者が開示
この一連の流れは、法的根拠を持って進められるものであり、個人ではなく専門家の介入が必要です。
情報開示にかかる期間の目安
情報開示請求の手続きには、一般的に3ヶ月~6ヶ月程度かかることが多いです。SNS事業者の対応スピードや裁判所の処理状況によっては、さらに時間がかかることもあります。
特に海外のSNS企業(Instagram、X(旧Twitter)、Facebookなど)の場合、国内企業よりも対応に時間を要するケースが多く、翻訳文書の提出などが求められることもあります。
複数のSNSに対する同時請求は可能か
複数のSNSアカウントから被害を受けている場合、それぞれの事業者に対して個別に情報開示請求を行う必要があります。しかし、弁護士や警察が手続きの窓口になるため、実務上は同時進行で進められることがほとんどです。
たとえば、InstagramとXの両方で嫌がらせを受けた場合、それぞれに対し別々の開示請求が必要になりますが、書類作成や裁判所への申立は弁護士がまとめて行えることもあります。
警察が介入するケースとその効果
名誉毀損や脅迫、ストーカー規制法違反などの犯罪に該当する可能性がある場合、警察に通報すると刑事事件として捜査が行われます。警察は独自に通信記録の保存を依頼し、捜査権限で加害者を特定することが可能です。
ただし、警察の対応にも時間がかかるため、早期の証拠保存と相談が重要です。証拠が消える前にログの保存要請を出すことが、被害解決への第一歩となります。
弁護士に依頼するメリット
民事訴訟として情報開示請求を行うには、裁判所への書面提出や複雑な法的手続きが必要となります。そのため専門の弁護士に依頼するのが一般的です。費用は10万円~30万円程度が相場ですが、迅速で正確な対応が期待できます。
また、弁護士に依頼することで、複数のSNSへの同時請求もスムーズに進み、開示請求から加害者への損害賠償請求まで一貫して対応できます。
まとめ:早期対応が被害拡大を防ぐ鍵
SNSでの被害に対して情報開示請求を行うには、数ヶ月の期間と法的手続きが必要です。複数のSNSに対しても同時に進めることは可能ですが、正確な手続きと証拠の確保が不可欠です。警察や弁護士への早期相談を行うことで、加害者特定と法的措置が現実的になります。
被害を受けた場合は、まずは慌てずに証拠を保存し、警察や弁護士へ相談することを強くおすすめします。