相続で不動産を取得する場合、その価値の把握や名義変更(相続登記)の手続きが必要となります。特に、遠方の土地の場合はどこに相談すればよいのか悩む方も多いでしょう。本記事では、不動産の相続に関する基本的な流れと実務的なポイントを解説します。
まずは不動産の価値を知る:3つの方法
不動産の価値は相続税の計算や分割協議に関わるため、正確な把握が大切です。主な調査方法は以下の通りです。
- ①固定資産税評価額を確認する
市町村が毎年発行する固定資産税の課税通知書に記載があります。簡易的な参考価格として使えます。 - ②不動産会社に査定を依頼する
売却も検討している場合は、現地の不動産会社による無料査定が参考になります。インターネットで一括査定サイトも利用可能です。 - ③不動産鑑定士による正式な鑑定
遺産分割でもめている、または正確な時価が必要な場合には、不動産鑑定士への依頼が有効です(費用は数万〜数十万円)。
固定資産評価額と実勢価格には開きがあるため、目的に応じて複数の方法を組み合わせましょう。
名義変更は司法書士に依頼するのが基本
相続による不動産の名義変更(相続登記)は法務局に申請しますが、一般の方には手続きが複雑です。登記簿謄本、戸籍類、遺産分割協議書の作成などが必要であり、専門知識を要するため司法書士への依頼
2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知ってから3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。早めの対応が重要です。
司法書士は不動産の価値も調べてくれる?
司法書士はあくまで登記の専門家であり、価格の調査や評価は通常行いません。ただし、登記に必要な固定資産税評価証明書を取得する際に、評価額を確認することはあります。
価格調査については、不動産会社や不動産鑑定士へ相談するのが確実です。司法書士が不動産会社を紹介してくれる場合もあるため、窓口として活用するのも良いでしょう。
遠方の不動産でも、地元の専門家でなくてもOK
現在では、オンラインや郵送を活用して全国どこでも手続きが可能です。必ずしもその地域の司法書士でなくても対応できます。ただし、現地調査や不動産業者との連携が必要な場合は、地元の司法書士のほうがスムーズなケースもあります。
また、大手の司法書士法人では全国対応の体制が整っているため、都市部の事務所に依頼しても問題なく処理できます。
実際の手続きの流れと必要書類
相続登記の流れは以下の通りです。
- 被相続人の戸籍謄本一式の収集(出生から死亡まで)
- 相続人全員の戸籍・住民票
- 遺産分割協議書の作成と押印
- 固定資産評価証明書の取得
- 登記申請書の作成・提出
これらの書類を整えて法務局に申請しますが、1つでも不備があると却下されてしまうため、やはり司法書士に任せるのが無難です。
まとめ:不動産相続は早めに価値調査と手続き依頼を
相続における不動産の価値調査は、不動産会社・鑑定士の活用が鍵です。登記については司法書士への依頼がスムーズで、遠方であっても対応可能な事務所が増えています。早期に信頼できる専門家に相談することで、相続手続きをトラブルなく完了させることができます。