複数の審査請求による審査請求料返還は可能?実務対応と手続きガイド

特許の審査請求を誤って複数回行った場合に、重複納付した審査請求料の返還請求が可能かどうか、制度の仕組みや具体対応を分かりやすく解説します。

審査請求料返還制度の基本

日本では審査請求後に「出願取下げ」または「放棄」を行い、かつ審査が着手される前であれば、請求料の**1/2**が返還される仕組みがあります[参照]

返還請求は出願取下げまたは放棄から6ヶ月以内に行う必要があり、金額は端数切捨てで算出されます。

同一請求人による二重請求はどうなる?

制度上、同一出願に対する審査請求は一度であり、複数回請求しても**審査請求自体を取り下げることはできません**[参照]

つまり制度的には「二重請求」の概念が存在せず、単に同一手続を重ねた扱いとなります。

重複納付分の対応は可能?

審査請求料が過剰に納付された場合、**過納分の返還請求はできません**。制度上、返還対象は「取下げまたは放棄」による半額のみと規定されており、単に確認不足等で同額を重複納付したケースには当たりません。

別途「制度上の誤納」等に該当すれば例外的対応となりますが、通常の二重請求では返還対象外です。

具体例で確認する

例えば、A社が3週間内に誤って同じ出願番号で審査請求を2回提出し、それぞれ¥168,600ずつ納付した場合、返還対象は「取下げまたは放棄+半額返還」の要件を満たしたケースのみであり、**二重納付分は制度対象外**となります。

したがって、返還請求可否を判断する際には「出願の取下げ・放棄があったか」、「審査官による着手前か」の2点が重要です。

実務上の対応と注意点

もし誤って納付してしまった場合は、**特許庁へ「審査請求料返還請求書」を提出**し、該当出願が「取下げまたは放棄+審査未着手」の条件にあることを明記しましょう。

返還請求が期限を過ぎた場合や、書類不備・誤納など理由が特許庁によって認められれば、**救済的に返還される可能性もあります**。

まとめ

同一請求人による二重審査請求では、「審査請求料返還制度」の対象にはならず、重複納付分の返還は基本的にできません。

返還にあたっては「取下げまたは放棄の実行」および「審査着手前であること」が必須要件です。誤納が心配な場合は、早めに出願の取下げや放棄を検討し、返還手続きを行うのが得策です。

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