交通事故による行政処分では、被害者の怪我の程度に応じて違反点数が加算されます。中でも「後遺障害」が絡むケースでは13点が付加され、免許停止や取消処分に直結する重大な処分につながります。本記事では、13点加算が実際に適用される流れや具体的事例、処分時期の実務について解説します。
人身事故における違反点数の基本構造
交通事故で負傷者が出た場合、加害者には刑事責任とは別に行政処分(違反点数加算)が科されます。加算点数は被害者の傷害程度によって異なり、代表的な加算は以下の通りです。
- 軽傷(全治15日未満):3点
- 中程度(全治30日以上):6点
- 重傷または後遺障害:13点
特に13点は、累積点数により一発で免許停止または免許取消になるラインであるため、非常に重大な影響があります。
後遺障害等級と点数加算の関係
13点の加算対象となる「後遺障害」とは、自賠責保険で定められている1級〜14級の後遺障害等級が認定された場合を指します。この等級認定には、通常事故後半年以上の経過観察や医師の診断書、症状固定判断などが必要となり、確定に時間がかかります。
そのため、事故直後に行政処分が行われた場合、後遺障害が未認定であれば一旦は軽い点数(例:6点)で処理され、後から後遺障害が認定された場合に追加点数が課される形となります。
13点が加算される実際のケース例
以下は実際に13点加算が認定された代表的な事例です。
- 交差点での自転車接触事故で、被害者に「下肢の機能障害」(後遺障害等級12級)が認定
- 横断歩道での歩行者事故で、被害者に「視力障害」(後遺障害等級7級)認定
- バイクと車の接触事故で、被害者が「むち打ち症による神経障害」(等級14級)と認定
等級は重症度により変わりますが、14級以上の後遺障害認定がされれば13点が加算されるのが原則です。
後遺障害認定までに処分が先行する場合
事故直後に行政処分が行われ、その後に後遺障害が確定した場合、行政処分を追加で行う「再審査」や「追完処分」が実施されることがあります。
警察や運輸支局は医師の診断書や損害保険会社の通知をもとに、点数の修正を行う仕組みを持っており、後日13点への修正加算がなされることになります。
免許取消となるケースと対処法
過去の違反歴との累積点数によっては、13点の加算で「免許取消処分(欠格期間1年〜5年)」となる可能性があります。行政処分の通知を受けた場合、すぐに処分書の内容を確認し、異議申立ての可否や納得できない点については行政不服審査請求も検討可能です。
また、処分前に弁護士へ相談し、後遺障害認定に基づく主張や、処分内容の軽減を求める活動を行うことも有効です。
まとめ
人身事故における後遺障害認定がされると、違反点数として13点が加算されることがあります。認定が遅れても、後日点数が修正・追加される可能性があるため、処分が終わったと思っても油断は禁物です。
万が一、免許停止や取消の処分がなされた場合でも、異議申立てや弁護士による対応により、一定の見直しが行われるケースもあるため、冷静かつ早めの対応が重要です。