自動車と自転車の接触事故は、いざという時の対応が非常に難しい問題です。特に事故直後には「大丈夫」と言っていた相手が、後から怪我を訴えてきた場合、どう対処すべきか戸惑う方も多いでしょう。この記事では、自転車との接触事故後に診察費を請求された場合の対応方法を、過失割合・人身事故化の影響・法的責任の観点から整理して解説します。
自転車事故の過失割合と「急な飛び出し」の判断基準
自転車との事故では、一般的に自動車側に過失が大きくなりがちです。しかし、飛び出しや一時停止無視などの自転車側の違反がある場合、過失割合が自転車4:車6や5:5になることもあります。
今回のように、車側が優先道路を走行しており、自転車が一時停止せず飛び出してきたケースでは、自転車にも大きな過失が認められる可能性があります。とはいえ、事故の状況が双方の言い分で食い違うことも多く、客観的な証拠(ドラレコや目撃証言)があると有利になります。
事故現場で「大丈夫」と言われた後の診察費請求は有効?
事故の直後に当事者同士で「怪我はない」と確認しても、数日後に痛みを感じて病院を受診した場合、その治療費は相手方から請求されることがあります。これは医学的に「むち打ち」や「捻挫」などが、事故当日には出にくいケースがあるため、一定の理解を示される傾向があります。
したがって、「後からの診察費請求=詐欺」ではない点に注意が必要です。ただし、診察の証拠が曖昧な場合や過失割合が明確に自転車側に大きくある場合は、支払い義務の範囲が限定される可能性もあります。
人身事故として警察に届けられるリスクとその意味
相手が「診察費を支払わないなら人身事故として届け出る」と言ってくる場合、実際に届けられると、警察が再度事情を聴取し、調書を作成します。ここで交通違反が確認されると、点数の加算や反則金が発生することもあります。
ただし、事故の原因が相手側にあることが明白で、あなたに違反がなければ、行政処分(違反点数等)を受ける可能性は低いです。また、届け出を受けても、それだけで加害者として断定されることはありません。
診察費請求に対する正しい対応とは?
このような場面では、以下の対応が重要です。
- 感情的に反応せず、冷静に保険会社へ連絡して相談
- 診断書や領収書の提示を求める(内容が妥当か確認)
- 支払いの可否は保険会社を通じて判断し、自分で直接交渉しない
- 必要であれば、弁護士特約を活用して法律の専門家に相談
特に人身事故として届けられる前に、状況説明を保険会社や警察に先回りして行っておくことも防衛策となります。
実例:後出し診察費請求が妥当と判断された/されなかったケース
【妥当と判断された例】事故直後に痛みはなかったが、翌日に首の違和感が強まり、整形外科で頸椎捻挫と診断。通院日数も数日で、治療費は約3,000円。保険会社は支払いを了承。
【妥当とされなかった例】事故から1週間以上経って突然「通院している」と連絡。診断内容も不明瞭で、保険会社は証拠不十分と判断し、支払いを拒否。相手はその後何も言ってこなくなった。
まとめ:感情に流されず、冷静に保険会社と連携するのが鉄則
自転車との接触事故後に後出しで診察費を請求されたとしても、感情的に拒否したり相手に直接対峙したりするのは避けましょう。事故は保険で処理するという基本に立ち返り、保険会社と協力して対応することが最も安全で合理的な道です。
「納得できない」と感じる場合でも、まずは情報を整理し、冷静に判断を下すことが、あなた自身を守る最大の防御策となります。