外国籍の方が日本で大麻所持などの薬物犯罪で摘発された場合、たとえ初犯であっても「強制送還されるのか?」という不安は非常に大きな問題です。特に永住者として日本で生活基盤を築いている場合や、将来的に会社を設立したいという意思がある場合、どういった判断がなされるのかについて解説します。
永住者でも強制送還になるのか?
日本の出入国管理及び難民認定法(入管法)により、外国人が刑法等により一定の刑罰を受けた場合、強制退去の対象になります。特に、大麻取締法違反(所持・使用など)は退去強制事由に該当します。
ただし、「永住者」は特別な在留資格であり、自動的に強制送還になるわけではありません。個別の事情(日本での生活実態、家族関係、再犯の可能性、地域社会との結びつきなど)を総合的に判断して「在留特別許可」が与えられるケースもあります。
初犯・執行猶予付き判決が出た場合の扱い
刑事処分が「執行猶予付き」であっても、有罪判決を受けたという事実は変わらないため、入管からの審査では退去強制の要件を満たすことになります。特に薬物関連犯罪は、犯罪の性質が悪質とされやすく、判断が厳しくなりがちです。
一方で、執行猶予付きの判決は、「更生の余地がある」と司法が認めた証でもあるため、本人の反省状況や生活基盤などが良好に示されれば、強制送還が回避された例も存在します。
永住者が強制送還を回避できた実例
例1:永住資格を持つ中国籍の男性が大麻所持で初犯・執行猶予付き有罪判決を受けたが、日本人の配偶者と子を持ち、長年日本で働いていたため、在留特別許可が認められた。
例2:ブラジル国籍の永住者が同様の犯罪で摘発されたが、地域ボランティア活動や納税歴が評価され、入管収容から仮放免→その後、退去命令が出されなかった。
強制送還のリスクを高める要因とは?
- 再犯歴や複数の前科がある
- 交通違反や罰金刑が多く、全体的に素行不良と判断される
- 家族や仕事のつながりが薄く、日本との社会的結びつきが弱い
- 入管手続きで反省の態度や誠実な対応が見られない
これらが重なると、強制送還の可能性は格段に高まります。
強制送還を回避するためにできること
- 法的代理人(弁護士)を立てて、在留特別許可を申請
- 日本での生活基盤(就労、家族、納税、社会貢献)を丁寧に証明
- 反省文や謝罪文、支援者の陳述書などの提出
- 裁判後すぐに入管に接触せず、弁護士に動いてもらう
在留特別許可は法的権利ではなく「裁量による許可」のため、状況説明の質が非常に重要になります。
まとめ:永住者でも強制送還の可能性はあるが、希望は残されている
大麻所持で有罪判決を受けた場合、永住者であっても原則は退去強制の対象になります。ただし、「初犯」かつ「執行猶予付き」、さらに「日本に強い生活基盤がある」という条件を満たせば、強制送還を回避できる可能性があります。
在留特別許可を得るためには、弁護士の支援を受けて入管対応を進めることが極めて重要です。日本で引き続き生活したいと考える方は、早めに法的な準備を整えておきましょう。