物損事故から人身事故へ切り替えるべきか?判断基準と賠償面のメリットを徹底解説

交通事故において、最初は物損事故として処理したものの、加害者の態度やその後の対応によって「人身事故に切り替えるべきか」と悩むケースは少なくありません。特に酒気帯び運転や悪質な言動があった場合、被害者としてどのような選択をすべきか、この記事で詳しく解説します。

物損事故と人身事故の違いとは?

物損事故は、ケガ人が出ておらず「モノ」に対する損害のみがある事故として処理されます。一方、人身事故は、身体にケガや不調がある場合に適用され、警察に「診断書」を提出することで切り替えることが可能です。

人身事故として扱うことで、加害者の責任が刑事・行政処分の対象となり、より厳しく処分される可能性があります。

人身事故に切り替える3つのメリット

① 慰謝料・休業損害などの補償対象が広がる
物損扱いでは補償されない「精神的苦痛への慰謝料」や「通院交通費」「休業補償」などが、人身事故に切り替えることで保険会社から支払われるようになります。

② 加害者への制裁が明確になる
悪質な加害者(酒気帯び運転や虚偽説明など)に対して、刑事処分(罰金や懲役)、行政処分(免許停止・取消)などが科されるため、社会的制裁も明確になります。

③ 証拠として診断書を残せる
人身事故に切り替えると「交通事故証明書(人身)」が発行され、後の示談交渉や訴訟で有力な証拠となります。

悪質な加害者の場合は特に切り替えを検討すべき

本来であれば簡潔に終わるはずの事故処理を、加害者が故意に引き延ばす、挑発的な言動を取る、さらには酒気帯び運転で逮捕された場合などは、情状酌量の余地がない悪質事案といえます。

こうした事例では、被害者側が人身事故への切り替えを通じて正当な法的措置と補償を受けるべきです。

人身事故へ切り替える方法と注意点

人身事故へ切り替えるには、事故当日または数日以内に受診し「診断書」を取得して警察へ提出する必要があります。病院にて「むち打ち症」「打撲」「腰痛」などの診断を受けた場合、これが正式な事故被害と認められる根拠となります。

注意点としては、事故から時間が経ちすぎると「後出しの虚偽申告」と捉えられる可能性があるため、早めの申請が望まれます。

実際の損害賠償にどう影響する?

人身事故として処理されると、物損のみの示談よりも平均して数十万円以上の賠償金差が生じることもあります。

例えば。

  • 通院10日 → 通院慰謝料 約5万円〜7万円
  • 休業損害(1日1万円換算)→ 10日で約10万円
  • 交通費・診断書費用などの実費も請求可能

これに加え、相手が酒気帯び運転や飲酒運転だった場合は損害賠償額が増額される傾向にあります(民事上の悪質性評価による)。

切り替えを迷っているなら早期相談を

「大ごとにしたくない」という気持ちから物損で済ませる方もいますが、後悔するケースも多いです。とくに加害者の態度が不誠実・挑発的であれば、法的にきちんと責任を問うためにも人身事故への切り替えが正当です。

判断に迷った場合は、交通事故に詳しい弁護士や無料法律相談を活用するとよいでしょう。

まとめ

物損事故から人身事故に切り替えることは、金銭面・法的責任の明確化・証拠確保の3つの点で大きなメリットがあります。

  • 診断書があれば切り替え可能
  • 慰謝料・休業損害など金銭面での補償が拡大
  • 加害者が悪質なら社会的制裁の意味でも効果的

「ムカつく」「不誠実だった」という感情だけでなく、冷静に法的対応をとることで、適切な補償と納得のいく決着につながります。

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