記念硬貨はコレクションや贈答品として人気がある一方、一般の硬貨と違って見慣れないため、真偽の判断が難しいこともあります。仮にそれが偽造硬貨だった場合、うっかり使用してしまうことで思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。今回は、偽造硬貨を知らずに使用した場合の法的責任や時効の考え方について解説します。
偽造通貨使用に関する日本の法律
日本の刑法では、「偽造通貨行使罪(刑法149条)」により、偽造された硬貨や紙幣を行使した者は処罰される可能性があります。ただし、これは使用者に「偽造と知っていた」ことが前提となる罪です。
したがって、偽造であると知らずに使用した場合には、基本的に罪に問われません。刑法における「故意」の存在が要件であるためです。
知らなかった場合でも罪に問われるケースはあるのか
「知らなかった」と主張しても、あまりにも不自然な使用態度や、繰り返し同じような硬貨を使っていた場合など、『未必の故意』が認められる可能性があります。
また、見た目が著しく異なるにもかかわらず使った場合など、「気づくべきだった」とされるケースもあり、結果的に警察による事情聴取などを受けることがあります。
仮に罪に問われた場合の刑罰と量刑
刑法149条の偽造通貨行使罪では、最大で無期または3年以上の懲役刑が科されることがあります。ただし、初犯かつ過失が認定されれば不起訴や執行猶予がつくケースもあります。
実際の運用では、事情聴取の段階で「故意性なし」と判断されれば、書類送検されないことも多いとされています。
偽造通貨に関する時効と適用例
刑事事件における公訴時効は、通貨偽造使用罪の場合、懲役の上限により「7年」または「10年」が適用されます(刑事訴訟法250条)。
質問のように「20年以上前の使用」であれば、仮に違法性があったとしても時効が成立している可能性が高いです。
記念硬貨を使う前に注意すべきポイント
- 記念硬貨の種類や額面が正規発行されたものであるかを財務省などで確認
- 心配であれば銀行や郵便局などでの交換を選ぶ
- 真偽不明なものは念のため使用を控える
近年はメルカリ等で流通する偽造硬貨も増えており、インターネット購入品には特に注意が必要です。
まとめ:知らずに使った場合は罪に問われにくいが注意は必要
偽造硬貨をうっかり使ってしまったとしても、「知らなかった」という認識が正直で、確認できる証拠があれば基本的に罪には問われません。
ただし、不審な硬貨の使用は思わぬトラブルを招くこともあるため、怪しいと感じたら事前に専門機関に相談するか、使わない判断が安全です。疑問がある方は、お近くの警察署や銀行、または[財務省]などに確認をおすすめします。