家庭教師派遣会社トライの報酬構造について、「家庭から会社へ支払う料金と家庭教師の受け取り額の差が大きすぎる」との声もありますが、フリーランス保護法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の視点から整理して検証します。
フリーランス保護法とは?
2024年11月1日施行のこの法律は、個人で働くフリーランスを保護し、発注者に取引条件の明示や報酬支払義務、買いたたき禁止などを課すものです:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
禁止事項には「著しく低い報酬を不当に設定する行為」(買いたたき)が含まれ、これは貧困な収入をフリーランスに押し付けることを防ぐ目的です:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
中間マージンは「買いたたき」?
依頼主が8580円支払い、そのうち教師に支払われるのが2970円の場合、5610円の差額は企業のコスト—運営、人件費、保険、マージン等の対価と考えられます。
フリーランス保護法が問題とするのは、「同業他社と比べ極端に報酬が低く不当に定められていないか」です。マージン構造が透明であり、教育サービスの提供が適切であれば直ちに法違反とは限りません。
具体的な判断基準と注意点
- 業務内容・報酬基準の明示義務
- 比較可能な他社料金とのバランス
- 契約書や説明資料に費用項目が明確に記載されているか
これらが不透明で、かつ同等の教育サービスに対し明らかに遜色ある報酬設定なら「買いたたき」にあたる可能性があります。
「買いたたき」に該当するとどうなる?
公正取引委員会は違反企業に対し勧告・命令し、企業名を公表する場合があります:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
命令違反には50万円以下の罰金が定められています:contentReference[oaicite:3]{index=3}。
家庭教師トライへの法的適用は?
家庭教師業務が「業務委託」に該当すればフリーランス保護法の対象となります。
ただし、トライのケースでは、指導プランの立案や運営サポートも含まれるため、単なる「委託料」として扱えない可能性があります。プランナーのサポートに対する対価としてマージンが設定されていれば、法律違反とは言い切れません。
違法性チェックのポイント
- 報酬水準が同業と比較して著しく低くないか
- 会社が報酬の根拠やマージンの使途を明示しているか
- 契約解除や報酬減額に不当な条件がないか
まとめ
現時点で家庭教師トライのマージンが即「買いたたき」に該当すると判断するのは早計です。法律違反とするには、報酬額の著しい低さ、不透明なマージン設定、サービス内容に見合わないコストなどが必要です。
同法をふまえ、公平・明瞭な契約と報酬説明の整備が、企業とフリーランス双方にとって重要と言えます。