プライバシー侵害で慰謝料はいくら請求できる?公開情報の内容と重大性が賠償額を左右するポイントとは

近年、SNSや掲示板などネット上での個人情報の流出や晒し行為が問題となっています。特に氏名や住所、顔写真などが無断で公開されると「プライバシー侵害」として法的責任を追及されることがあります。本記事では、プライバシー侵害に該当する事例や慰謝料の相場、損害賠償の決まり方について解説します。

プライバシー侵害とは何か?

プライバシー侵害とは、本人の同意なく私的な情報を第三者に開示・公開する行為を指します。日本の判例では、「個人の私生活に関する事柄で、本人が公開を望まない情報」が対象となります。

例えば以下のような情報が該当します。

  • 氏名や住所、電話番号
  • 顔写真・家族構成
  • 健康状態・病歴・学歴などの個人的経歴
  • 勤務先や所属先

慰謝料の相場と算出基準

プライバシー侵害における慰謝料の金額は、開示された情報の性質・量・影響の大きさによって大きく異なります。一般的な目安は以下の通りです。

  • 軽度の情報(氏名・学校名のみ):5万〜30万円
  • 中程度(氏名+住所・顔写真等):30万〜100万円
  • 重大な侵害(病歴・性的情報・子供の個人情報など):100万〜300万円以上

事例として、Vtuberの個人情報(本名・住所)が晒されたケースで300万円の示談金が支払われたことがあります。

慰謝料を高額にできる条件

裁判所が慰謝料を高く評価する主な要因は以下のような点です。

  • 情報が広範囲に拡散されている(XやYouTube等)
  • 悪意ある投稿や継続的な晒し
  • 被害者が未成年・芸能人など社会的に影響を受けやすい立場
  • 職場や家庭に実害が及んだ

たとえば、Twitterで実名+写真+職場を晒され、その後に会社を辞めざるを得なかった場合などは、200万円〜300万円超の慰謝料が認定される可能性があります。

加害者に請求するまでの手順

プライバシー侵害が発生した場合、まずは証拠の保存が重要です。スクリーンショットやURL、発信者情報を記録し、削除前に必ず残しておきましょう。

次に、弁護士を通じて投稿元の開示請求を行い、発信者の特定→損害賠償請求という流れになります。匿名アカウントであっても、発信者情報開示請求によって責任を追及可能です。

慰謝料だけでなく刑事罰の対象になることも

プライバシー侵害は刑法上の「名誉毀損罪」「不正アクセス禁止法」「侮辱罪」に該当する場合もあります。慰謝料請求と並行して、刑事告訴も視野に入れることができます。

特にリベンジポルノや児童の情報を晒した場合は、加害者に懲役刑や罰金刑が科されることもあります。

まとめ:被害を受けたら早期の対応を

プライバシー侵害に対しては、単なる迷惑行為に留まらず、法的責任を問える重大な違法行為です。慰謝料は5万円から300万円以上まで幅がありますが、内容の重大性・拡散規模などが金額を左右します。

被害を受けたと感じたら、証拠保全を行い、弁護士に相談するのが最も確実な対応策です。泣き寝入りせず、正当な権利を主張することが大切です。

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