派遣会社の待遇や時給に対して不満を感じ、口コミサイトやSNSで情報を発信したくなることは誰しもあります。しかし、投稿内容によっては名誉毀損やプライバシー侵害など、法的トラブルに発展する可能性も否定できません。本記事では、他社の時給が写った画像を用いた口コミが名誉毀損に該当するかどうかを解説します。
名誉毀損とは何か？法律上の定義
刑法230条では、名誉毀損とは「公然と事実を摘示し、人の社会的評価を低下させる行為」とされています。つまり、事実であっても、他人の評価を下げる内容を広く発信すれば名誉毀損が成立する可能性があります。
派遣会社に関して「ここは他社より時給が安い」と発信する行為が、この範疇に入る可能性があるかは投稿の文脈次第です。
他社の時給が写った画像を使用するリスク
口コミに他社の求人情報などの画像を添付する場合、それが著作物であれば著作権侵害の対象になる可能性があります。また、派遣先の勤務地や社名が特定できる内容であれば、企業の信用を毀損する行為と見なされ、法的リスクが高まります。
たとえば「A社の派遣でB社に配属されたが、C社ならもっと高かった」というような表現で画像付きの場合、B社やA社の評判に影響を与えると解釈されかねません。
「比較意見」の範囲で許容される場合も
一方で、事実に基づいた比較表現や感想であれば、「意見・論評」として名誉毀損に当たらないとされる場合もあります。以下のような表現であれば、一般的には違法性が認められにくいです。
- 「個人的には他社のほうが時給が良かったので、少し残念でした」
- 「この勤務地でこの時給はやや低めに感じました（画像なし）」
ただし、画像が添付されると説得力が増す反面、リスクも増えるため注意が必要です。
口コミ投稿時の具体的な注意点
- 画像を使う際は、社名や個人名、勤務地名が特定されないよう加工する
- 事実を誇張したり、断定的に表現しない
- 「この情報は私の経験に基づく感想です」と明示する
- 投稿前に第三者に内容を確認してもらうと安全性が高まる
もしトラブルになった場合の対処法
万が一、投稿に対して名誉毀損や業務妨害などで警告を受けた場合は、まず弁護士に相談しましょう。[参照：弁護士ドットコムの名誉毀損解説]
また、口コミサイトの運営側が名誉毀損リスクを判断し、投稿を削除するケースもあるため、事前に利用規約を確認しておくと安心です。
まとめ：投稿は慎重に、主観と事実の区別を意識して
派遣会社への口コミ投稿において、他社の時給画像や具体的な勤務地情報を含めることは、法的な注意が必要です。名誉毀損やプライバシー侵害を避けるためには、「事実＋主観的感想」のバランスと表現の節度が重要です。
感情的にならず、あくまで冷静かつ建設的な意見として表現することで、安全かつ効果的に情報を共有できます。