相続登記義務化で「過料通知が突然届く」ことはある?認知症の相続人と小規模土地の登記対応も解説

2024年4月から相続登記が義務化されましたが、「過料の通知が突然届くのか?」「登記しないまま母の死を待つべきか?」という不安を抱える方も多いでしょう。この記事では、見落とされがちな小規模地(側溝など)や、認知症の相続人がいる場合の対応方法まで具体的に解説します。

相続登記義務化で「突然の過料通知」はあるのか?

結論から言えば、いきなり過料通知が届くことは通常ありません。法務局による調査や催告、督促が段階的に行われ、それでも履行しない場合に最大10万円の過料対象となるのが基本です。

特に、土地が市の管理下にあり、固定資産税も非課税であるような「低利用地」では、すぐに行政が把握して動くとは限りませんが、義務違反は形式的に成立します。

そもそも対象になる土地なのか?

今回のケースでは「側溝部分」であり、市が管理している状態であっても、登記上の所有者が被相続人名義であれば、相続登記の義務対象です。

実際に地方では分譲地の一部として側溝や私道が残っていることが多く、「見落とされたまま50年」が起こるのも珍しくありません。

認知症の相続人がいる場合の注意点

認知症の相続人がいる場合、法定後見制度を利用せずに相続登記を完了するのは困難です。法務局が「本人の意思確認」を重視するため、家族が代筆しただけの書類では受理されません。

診断書の提出や、成年後見制度の申し立てによる後見人選任が必要になるケースが多くあります。

相続人申告登記という選択肢

令和6年から開始された「相続人申告登記」は、法定相続人である旨を届け出るだけで、義務を果たしたとみなされる制度です。

書類も比較的簡素で、登記義務を満たす最低ラインとして利用価値があります。ただし、権利移転にはならないため、不動産を売る・処分するには通常の相続登記が必要です。

実例:登記をせず親の死亡後も放置したケース

ある家庭では、亡父の名義で残っていた畑(評価額数万円程度)が登記されず、20年以上経過後に行政指導を受け、過料請求寸前で慌てて登記を済ませたという例があります。

このように価値の低い不動産であっても、名義が放置されていること自体が問題視されるようになります。

母の死後にまとめて登記すればよいのか?

実務的には、母の死後に「二次相続」としてまとめて登記することで簡略化できる場面もあります。

ただし、母が存命中に相続登記を怠ると、「故意の義務違反」と判断される可能性があり、過料リスクをゼロにはできません。

まとめ

側溝のような小規模地でも、登記義務は存在します。いきなり過料通知が届くわけではありませんが、未登記のままにしておくことはリスクです。

認知症の相続人がいる場合は「相続人申告登記」や「成年後見制度」をうまく活用し、負担を抑えて法的義務を果たす方法を検討することが重要です。

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