ネット上で「PayPayを送れば倍返す」といった発言をしてしまい、のちに返金対応を行ったとしても、「高額な損害賠償を請求された」「脅迫まがいのメッセージが届いた」といった事例は少なくありません。本記事では、実際に法的責任が生じる可能性や、請求の有効性、脅しの見分け方などを丁寧に解説します。
返金したのに損害賠償請求されることはあるのか?
まず前提として、詐欺に類似した言動があっても、被害者全員に速やかに返金対応をし、謝罪の意思を示している場合、重大な民事責任が問われる可能性は低いと考えられます。
法的に損害賠償請求を行うには、「損害」が実際に発生している必要がありますが、20円のやり取りに対して50万円という金額は、社会通念上「過剰であり不相当」とされる可能性が高いです。
「特定した」「損害賠償50万円」といった脅し文句の正体
「電波で特定した」「通知が来る」といった表現は、多くの場合脅迫に該当する可能性がある虚偽の主張です。個人が合法的に他人の位置情報を「電波で特定」することは不可能に近く、現実的ではありません。
また、1ヶ月半も経過して通知も届かず、相手が訴訟や警察に動いた様子もない場合、実際に請求する意思があるとは考えにくいです。
損害賠償が成立する法的要件とは?
日本の民法709条に基づく損害賠償請求には、以下の4要件が必要です。
- 違法な行為(例:詐欺的な発言)
- 故意または過失
- 損害の発生
- 行為と損害の因果関係
今回のように返金済み・相手が損害を被っていない場合、損害額を証明することが非常に困難です。
もし裁判を起こされたら?
実際に50万円の損害賠償請求訴訟を提起される場合、正式な「訴状」や「内容証明郵便」が届きます。そのような通知がないまま「通知が届くかも」と言ってくるだけでは、法的手続きを進めているとは言えません。
内容証明や裁判所からの通知が届いた場合は、すぐに弁護士へ相談しましょう。それまでは冷静に様子を見るべきです。
脅しや嫌がらせに対する対応方法
このような言動が続く場合、以下の対応が有効です。
- ブロックまたは通報:SNS・アプリのメッセージはブロック、通報機能を活用。
- 証拠保全:メッセージや通話記録は必ずスクリーンショットや保存を。
- 警察相談:脅迫や名誉毀損に該当する可能性がある場合、警察相談窓口(#9110)へ。
まとめ
✅「PayPay倍返し」といった発言は詐欺的要素があり反省が必要ですが、返金対応していれば民事責任は限定的です。
✅「20円で50万円請求」は現実的でなく、脅迫まがいの言動である可能性が高いです。
✅ 通知が届かないまま長期間経過している場合、訴訟が現実化しているとは考えにくく、冷静な対応と証拠保全が最優先です。
✅ 必要であれば弁護士や警察への相談も検討し、決して一人で抱え込まずに対処しましょう。