交通事故で自分の車が廃車になった場合、相手に過失があるときは損害賠償を請求できます。ただし、補償される金額は車の「時価」ベースとなり、必ずしも次の車の購入費全額が出るわけではありません。特に20万キロを走った車となると、その価値や補償の期待値には注意が必要です。
20万キロ走行した車の時価はどれくらい?
車の時価は、走行距離・年式・状態・市場価値などから算出されます。一般的に20万キロ以上走っている車は市場価値がほとんどなく、査定額がゼロに近くなることもあります。
例として、10年以上前のコンパクトカーで20万キロ超の車だと、中古車市場では1~3万円程度の価値しかつかないことも珍しくありません。つまり、事故で全損となっても、賠償金額はこの程度しか認められない可能性があります。
事故での補償額の決まり方
相手方の任意保険により賠償が行われる場合、「車両時価額-事故車の残存価値(レッカー後の売却など)」で補償金額が決まります。修理費用が時価を上回る場合も、上限は時価額に制限されるのが通例です。
例えば、時価5万円で修理費が30万円かかる場合、修理ではなく時価5万円の全損扱いとなり、それ以上の補償は期待できません。
「次の車を全額補償してほしい」は通るのか
法的には、次の車の購入資金を全額負担してもらうことは基本的に認められません。損害賠償は「事故によって被った実際の損害額」までしか請求できず、より良い車を購入するための上乗せは「利益」と見なされて否定されます。
ただし、相手との交渉次第で「情状的に少し上乗せして支払ってくれた」というケースも存在しますが、あくまで例外的な話です。
事故相手との関係が友人の場合の注意点
事故の当事者が友人関係にある場合、感情が絡みやすく、法的な話と個人的な感情の折り合いが難しくなることがあります。冷静に時価評価と保険の補償をベースに話し合いを進めることが重要です。
友人が過剰な要求をしてきたとしても、あくまで法律と保険の規定に基づいて説明し、感情的にならないように心がけましょう。
どこに相談すればよいか?
事故の対応や補償について不安がある場合は、以下の相談先を活用すると安心です。
- 加入している保険会社の事故対応窓口
- 自動車事故に強い弁護士
- 消費生活センター
- JAF(日本自動車連盟)
第三者の意見を挟むことで、公正な対応が期待できます。
まとめ|補償は「時価」までが原則、冷静な話し合いを
20万キロ以上走った車が事故で廃車になった場合、相手に請求できる補償は原則として車の時価までです。次の車の全額を求めるのは過大な要求となる可能性があります。保険の仕組みと法律のルールを理解し、感情ではなく事実ベースで冷静に対応することが大切です。