熊本地裁による偽造通貨輸入・同行使事件でベトナム国籍の被告が無罪となった背景と、その判決理由について詳しく解説します。
事件の概要と驚きの判決
被告は旧1万円札176枚をベトナムから密輸し、両替などを試みたとして起訴されましたが、熊本地裁は「偽札と認識していた決定的な事情がない」として無罪判決を言い渡しました :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
検察は懲役9年を求刑しており、被告の認識や故意の有無が最大の争点でした。
無罪判決のポイント①:認識が立証できなかった
裁判所は、被告が輸入した紙幣が偽札であると知っていたと認識していたという決定的な証拠が示されなかった点を重視しました :contentReference[oaicite:1]{index=1}。
刑事裁判では「疑わしきは被告人の利益に」という原則が適用され、無罪判決に繋がりました。
無罪判決のポイント②:旧紙幣の知識の有無
被告は来日後旧1万円札を見たことがなく、存在そのものを知らなかった可能性があります。
裁判所はこれを不自然とはせず、認識不足が故意の否定につながると判断しました :contentReference[oaicite:2]{index=2}。
無罪判決のポイント③:供述の信用性
被告は「友人から頼まれた記念紙幣だと思った」と主張し、画像を確認しただけだったと説明。
裁判所はその供述を信用に足ると判断し、その真偽を覆す証拠がないと判断しました :contentReference[oaicite:3]{index=3}。
無罪判決のポイント④:裁判員裁判という背景
本件は裁判員裁判であり、一般市民も証拠の有無に基づく判断をした可能性があります。
プロの裁判官だけでなく、市民の目が“合理的疑い”を重視したと推測されます。
今後の展開と司法の原則
検察は控訴を検討中。上告・再審理の可能性があります。
今回の判決は「偽札輸入を容認するものではなく、あくまで被告の認識が立証できなかったケースに限定される」という点に注意が必要です。
まとめ
本事件では以下の要点が無罪判決の理由となりました。
- 偽札と認識していた証拠が不十分
- 旧紙幣を知らない外国人としての可能性が合理的
- 被告の供述が信用され、疑問を払拭できなかった
- 裁判員裁判で“合理的疑い”を重視した判断がされた
刑事事件では「疑わしきは罰せず」の原則が非常に重要です。今後の控訴・再審理でも、同様の視点で争われる可能性が高いでしょう。