インターネット詐欺や投資詐欺など、巧妙な手口で多くの人が被害に遭っています。被害に気づいたとき「もう戻ってこない」と諦めてしまう方もいますが、実は国や自治体によって設けられている支援制度を活用することで、被害金の一部を回収できる可能性があります。本記事では、詐欺被害者が利用できる公的制度や支援策についてわかりやすく解説します。
■まずは警察へ被害届を提出することが前提
詐欺被害に遭った場合、まずやるべきことは最寄りの警察署で「被害届」を提出することです。被害届が受理されることで、捜査が開始されると同時に、今後説明する制度を利用するための「法的証明」として活用されます。
たとえば、後述する「犯罪被害者等給付金制度」や「振り込め詐欺救済法」などは、捜査機関による認定や報告が必要となるため、警察への通報は必須のステップとなります。
■振り込め詐欺救済法による返金制度
金融庁と預金保険機構が運営する制度に「振り込め詐欺救済法」に基づく措置があります。これは詐欺により振り込まれたお金が、まだ詐欺犯の口座に残っていた場合、その資金を凍結し、被害者に分配できる制度です。
申請は預金保険機構に対して行い、銀行口座・振込日時・被害金額などの証明が必要になります。返金の割合は残高や申請者数によって異なりますが、実際に返金された事例も多数あります。
■犯罪被害者等給付金制度
警察庁が実施している「犯罪被害者等給付金制度」は、故意の犯罪行為により生命や身体に重大な被害を受けた被害者や遺族に対し、給付金が支払われる制度です。
詐欺被害の場合は主に「精神的な傷害」や「暴力を伴う詐欺行為」が対象となるため、全ての詐欺が対象ではありませんが、該当するケースでは最大1,630万円(遺族給付金)などが支給されることもあります。
■都道府県の消費生活センターの相談窓口
国民生活センターや各自治体の消費生活センターでは、詐欺被害に関する相談を受け付けており、法律相談や返金交渉のアドバイスをしてくれる場合があります。
また、事業者に対して行政指導が行われたり、民事での解決のために弁護士を紹介してもらえることもあります。
相談先は以下から検索可能です:
【全国の消費生活センター一覧】
■弁護士費用の援助制度も活用可能
経済的に余裕がない方の場合、日本司法支援センター(法テラス)では、弁護士費用を立て替える「民事法律扶助制度」が利用できます。
詐欺被害の回復を民事訴訟で目指す場合、この制度を通して、無料で法律相談を受けたり、裁判費用の援助を得られることがあります。
■まとめ:泣き寝入りせず制度の活用を
詐欺被害は精神的にも金銭的にも深い傷を残しますが、公的な制度を利用すれば被害金の一部を取り戻すことも可能です。以下の流れで行動を進めましょう。
- まずは警察に被害届を提出
- 該当する制度(振り込め詐欺救済法・犯罪被害者等給付金など)を確認
- 消費生活センターや法テラスへの相談
- 弁護士の力を借りて返金交渉や訴訟も検討
詐欺被害に遭ったとしても、それで終わりではありません。制度を活用し、前向きに解決を目指しましょう。