住宅街や狭い道路に多く見られる、見通しの悪い交差点での出会い頭事故。この記事では「止まれ」標識が片方にのみある状況での事故について、過失割合や事故原因の考え方を実例を交えて解説します。
「止まれ」標識の有無で過失割合は大きく変わる
日本の交通ルールでは、交差点に「止まれ」標識がある側の車は一時停止義務があり、交差する道路を優先しなければなりません。したがって、標識側の車両(本件ではAさん)にはより大きな注意義務が課されます。
このような交差点での事故の基本的な過失割合は、Aさん:70%、Bさん:30%が一般的な目安とされています。
徐行と一時停止の違いが判断を分ける
Aさんが「一時停止を守り、徐行して通過した」とのことですが、停止後の安全確認が不十分と判断されれば、過失は減りません。事故直前の徐行ではなく、停止位置での確実な左右確認が重要です。
また、Aさんが徐行していても、Bさん側からAさんの車両が視認しづらく、衝突を避ける余地がなかった場合は、Aさん側の過失が重く見られる可能性があります。
見通しの悪さと双方の注意義務
双方の道路が狭く、見通しが悪い場合は、Bさんにも「徐行義務」や「注意義務」が課されます。道路交通法では、見通しの悪い交差点であれば、標識のない側でも徐行が求められる場合があります。
このような状況では、相手側にも一部過失が認められる可能性があるため、具体的な道路状況や車両速度、衝突位置などが重要な判断材料となります。
事故状況と損傷位置からわかること
Bさんの車が左前方からAさんの運転席ドアにぶつかったという点は、「Aさんが交差点に進入したタイミング」に問題があった可能性を示唆します。
加えて、Bさんの車両のフロントバンパーが浮いたという状況から、衝突時の速度がやや高めだったことも考えられ、Bさん側の過失割合が加味されることもあります。
ドラレコ映像・現場写真は重要な証拠
過失割合の交渉においては、保険会社同士が「事故状況の証拠」に基づいて調整します。ドライブレコーダー映像があれば、双方の速度や進入角度などを客観的に示す材料になります。
また、現場の見通し状況や道路幅を示す写真なども、事故の構造を理解するための手助けになります。
まとめ:Aさんが不利になるが、Bさんにも一定の過失が認定される可能性
今回のケースでは、「止まれ」標識を守った上で事故が起きたとしても、交差点進入の際の確認不足が問われ、Aさんに70%前後の過失が見込まれます。
ただし、Bさんが見通しの悪い状況で徐行を怠っていたと認められる場合、過失割合が65:35や60:40になる可能性もあります。
事故の責任割合は定型通りに決まるものではなく、状況証拠や当事者の言い分が大きく関わります。保険会社との交渉に備え、現場の状況をできるだけ詳細に記録しておきましょう。