交通事故後のやり取りは、当事者同士の合意形成が鍵となります。しかし、時として相手方の対応が滞り、保険会社の手続きも進まないケースがあります。この記事では、修理対応に応じない相手方に対し、被害者側がどう対応すべきかを、法的観点と実務の両面から解説します。
事故後の基本的な対応フローと保険会社の役割
事故が発生した場合、加害者(またはその保険会社)が修理費などの賠償を行うのが一般的です。保険会社は、事故相手と連絡を取り合い、修理の段取りを整え、見積もりや工場への案内を行います。
ところが、相手方が連絡に応じない、修理工場に出向かないといったケースでは、保険会社の対応が止まってしまいます。保険会社はあくまで「示談交渉」までの調整役であり、強制力を持って相手方を動かすことはできません。
相手が修理工場に来ない・連絡が取れない場合どうする?
相手方が修理に来ない、保険会社の連絡にも応じないとなれば、示談は進まず、保険会社としても賠償の処理ができません。こうした状況では、当事者(加害者)から直接連絡するのも一つの選択肢となります。
ただし、直接の連絡がトラブルを招く可能性もあるため、保険会社に相談した上で、連絡文案をメールやLINEなどの記録が残る形で送るのが望ましいです。
相手方が連絡しない場合、損害賠償請求はどうなる?
相手が修理をしなかったとしても、それによって加害者側(あなた)の賠償義務が消えるわけではありません。重要なのは、「誠実に対応した事実」を残すことです。
例えば、保険会社経由で再三連絡したこと、修理工場の手配をしていたことなどの証拠がある場合、後日相手方が損害を主張してきても、「その時点で応じなかった責任」は相手方にあります。
相手方が修理せず放置したまま時効を迎えたら?
損害賠償請求には原則3年の時効があります(民法第724条の2)。事故後3年以内に相手方が修理や請求手続きを行わなかった場合、請求権が消滅する可能性があります。
ただし、相手が途中で連絡してきたり、請求意思を示していた場合には時効が中断するため注意が必要です。
対応が滞ったときの実例とアドバイス
あるケースでは、加害者側が保険会社を通じて修理の案内を行い、相手も同意していたにもかかわらず、その後の連絡を一切無視したため、保険会社は「示談拒否」と判断し、賠償金の支払い処理ができない状態となりました。
このようなとき、事故当時の連絡内容や記録、保険会社とのやり取りをすべて残しておくことが重要です。記録があれば、万一後に法的なトラブルになっても、「対応済み」と主張できます。
まとめ:直接連絡は最終手段、まずは記録と誠実な対応を
事故後に相手方が修理に応じない、連絡が取れない場合でも、焦って独断で動くよりも、まずは保険会社との連携を強化しつつ、記録をしっかり残すことが第一です。
どうしても進まない場合には、相手に対してメール等で丁寧に対応を促すのも一つの方法ですが、リスクを伴うため慎重に。最終的には相手方の放置により損害賠償請求が行われないこともあり得ます。誠実な姿勢と記録の蓄積が、あなた自身を守ることにつながります。