離婚時の財産分与において「貢献度に応じた配分」が原則となりますが、現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンや借金といったマイナスの財産(負債)も対象となるのが基本です。この記事では、貢献度6:4などの割合がある場合に借金も同じように分担するのか、という疑問に対して実務上の考え方や注意点を詳しく解説します。
財産分与における基本ルール
財産分与とは、結婚生活中に夫婦が協力して築いた共有財産を清算する制度で、離婚時に実施されます。原則として夫婦の「実質的な貢献度」に応じて分けるとされています。
貢献度は収入だけでなく、家事・育児・介護なども考慮されるため、共働きでも専業主婦(主夫)でも5:5となることが多く、特別な事情がある場合に6:4や7:3とされることがあります。
借金も財産分与の対象となるのか
実は「夫婦で築いた借金」も、原則として財産分与の対象になります。たとえば住宅ローンや生活のための消費者ローンなどが該当します。
一方で、夫婦のどちらか一方が個人的に作った借金──たとえばギャンブルや不倫関係のための借金などは、財産分与の対象から除外される可能性があります。
貢献度6:4の場合、負債も6:4で負担?
理論上は、プラスの財産と同じように、負債も夫婦の貢献度に応じて6:4などの割合で分けるのが原則となります。つまり、負債1,000万円がある場合には、貢献度が6:4なら一方が600万円、もう一方が400万円という按分が考えられます。
ただし、実務では借金の契約名義や返済の実態も重要視されるため、契約者がどちらか、誰が返済してきたかなどの事実関係により調整が入るケースもあります。
プラスとマイナスの財産を合算して考える例
財産分与では、プラスの財産とマイナスの財産を差し引いて、全体でいくらあるのかをまず計算します。
例えば、以下のようなケースでは次のように計算されます。
財産内容 | 金額 |
---|---|
現金・預貯金 | 1,000万円 |
住宅ローン残債 | -1,000万円 |
純資産 | 0円 |
このようにプラスとマイナスが相殺されて「実質ゼロ」となる場合、形式的には財産分与の対象がなくなることもあります。
しかし、それでもどちらが負債を引き継ぐかの取り決めは重要で、偏った負担とならないよう協議や調停が行われます。
名義と返済実績にも注意が必要
たとえ貢献度が6:4であっても、住宅ローンの名義が片方にしかない場合や、一方が全額返済してきた実績がある場合は、その人に大きな負担が偏らないように考慮されます。
また、金融機関との契約上の責任は、名義人がすべて負うのが通常です。離婚協議で「あなたが返して」と決めても、金融機関には関係ないため、トラブルを避けるためには名義変更やローンの借り換えも検討すべきです。
まとめ:借金の分与も「公平性」が鍵
財産分与は「プラスもマイナスも合わせて考える」が原則です。貢献度6:4であれば、基本的には借金も同じ割合で負担するのが理論的には妥当です。
- 財産分与では借金も対象に含まれる
- 貢献度6:4なら、借金も600万:400万円のように配分される
- ただし名義・返済実績・契約上の義務によって柔軟に調整される
- 弁護士などの専門家に相談して進めるのが安全
公平な清算を目指すためにも、財産と負債の全体像をしっかり把握した上で、丁寧に話し合いを進めることが大切です。