なぜ闇バイトを強要されても警察に行けないのか?若者が追い詰められる心理と背景を解説

昨今、SNSなどを通じて「高収入」「簡単作業」といった誘い文句で若者が犯罪に巻き込まれる“闇バイト”が急増しています。なぜ強要されているとわかっていても、警察に相談せず実行してしまうのか。その心理的・社会的背景について掘り下げて解説します。

加害者でありながら“被害者”となる構造

闇バイトに関わる若者は、犯行に手を染める段階では既に精神的に支配・脅迫された状態にあることが多いです。「逃げたら家族に危害を加える」「顔や個人情報を晒す」といった脅しにより、選択の自由を奪われています。

また、未成年や大学生など経験の浅い層は、相手の言葉を信じ込みやすく、犯罪との線引きが曖昧になってしまうのです。

警察に相談できない心理的ブロック

「もう共犯だから捕まるのでは」「親にバレるのが怖い」「恥ずかしくて言えない」——こうした感情が、警察に助けを求めるハードルとなっています。

さらに、最初に提供した顔写真・身分証のコピーなどが「弱み」として利用され、「逃げられない」と思い込んでしまう心理状態に追い込まれます。

SNS型リクルートの巧妙な罠

闇バイトの多くはLINEやX(旧Twitter)などSNS経由で行われ、最初は“合法的なバイト”としてアプローチされます。「荷物の受け取り」や「簡単な代行」と言われた仕事が、後に犯罪行為にすり替えられることも珍しくありません。

一度関わると、脅迫・囲い込み・連絡の遮断といった手口で孤立させ、抜けられない構図をつくるのが常套手段です。

実例にみる「逃げられなかった理由」

2023年に摘発された“闇バイト強盗事件”では、加害者の一人が「最初は日払いのバイトだと思った」「断ったら家族を殺すと脅された」と証言しています。

また、ある大学生は「警察に通報しようと考えたが、LINEで『お前の実家も学校もわかってる』と言われ怖くてできなかった」と語っており、恐怖が理性を上回る状況に陥っていたことが伺えます。

支援窓口と通報のハードルを下げる取り組み

現在、各都道府県警察や法テラスでは、匿名での相談窓口を設け、未然防止の取り組みを進めています。

警視庁の「闇バイト相談専用窓口」などでは、「怖くて抜けられない」「協力させられたけど罪になるのか」といった不安に対応する体制があります。

まとめ:なぜ通報できず実行してしまうのか

・脅迫・洗脳的な手口で逃げ道を封じられている

・心理的に孤立し、通報=逮捕と誤解している

・SNSを介した巧妙な勧誘で犯罪認識が薄い

・しかし、早期に警察や相談窓口に助けを求めれば、加害者ではなく“被害者”として救われる可能性も高い

闇バイトの入り口は小さくても、出口は想像以上に深く危険です。自分や周囲が巻き込まれそうになったら、迷わず相談することが、何よりの「自衛策」です。

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