最近、山手線内でモバイルバッテリーが爆発し、電車の遅延・車両被害が発生した事故が報じられました。このようなケースでは当事者の責任範囲や補償の仕組み、負担額、利用可能な保険について整理する必要があります。
事故当事者の責任範囲
モバイルバッテリー自体は私物ですが、高速バスや電車など公共交通機関内での爆発による損害は、使用者に重大な過失が認められれば、その者の故意・過失として損害賠償責任が発生します。
車両補修費、遅延による賠償額(乗客への補償など)、清掃代等が対象となるケースが多く、使用者負担が原則となります。
遅延損害・補修費用の目安
実際の負担額は事案によりますが、車両補修費だけでも数十万〜数百万円、ダイヤの乱れによる遅延損害(日額×遅延人数)を加えると、合計で数百万円〜数千万円規模になる可能性があります。
事例として小規模な車内火災でも、補修費や清掃費で100万円超の請求となるケースがあります。
自己負担を抑える保険や補償制度
①個人賠償責任保険
一般的な火災や賠償責任を補償する保険で、家庭用自動車保険の特約で付帯されることもあり、モバイルバッテリー事故も対象となる可能性があります。
②弁護士費用特約
被害請求や交渉の際に、弁護士費用をカバーする保険特約です。裁判や交渉が必要な場合に役立ちます。
③共済や連絡相談窓口
JA共済などには事故相談・交渉サポート窓口が用意されており、紛争前の交渉やADRの利用が可能です。公正な解決支援が期待されます。
高裁や上告時の扱い
既に高等裁判所まで上告中であり、自賠責保険分は受領済とのことですが、今回のようなトラブルでは自賠責部分以外の費用(遅延損害、車両補修費など)は加害者が改めて負担するのが通常です。
専門家の判断では、弁護士費用特約があれば交渉や訴訟の負担も軽減できます。
具体的に取るべき対応
- ご自身の任意保険や共済に「個人賠償責任保険」「弁護士費用特約」があるか確認。
- 保険に加入していなかった場合でも、ADR(公的紛争処理センター)、弁護士相談を活用して請求に備える。
- 交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターで手続きを検討。
まとめ
モバイルバッテリー事故は、持ち物の管理責任が問われ、車両の修理費や遅延損害などで数百万円以上の負担となる可能性があります。
任意保険や共済の「個人賠償責任保険」「弁護士費用特約」があれば大きな助けになります。未加入の場合でもADRや専門家相談で対応可能です。
事故後の交渉は法的な知識も必要となるため、早めに保険会社や弁護士、自動車共済などに相談し、被害回復と心理的負担の軽減を図ることが大切です。