派遣切りで自宅待機になった場合の給料支払い義務と退職時の注意点

派遣社員として就業中に「派遣切り」に遭い、自宅待機の状態が続くと、給与の支払いがどうなるかは非常に気になるポイントです。特にそのまま退職した場合、「自宅待機期間の6割賃金」はもらえるのか、法的根拠を交えて詳しく解説します。

自宅待機命令は「休業扱い」になる可能性がある

使用者(派遣元)が労働者に対して就業させず、自宅待機を命じた場合、それは労働基準法第26条に基づく「使用者の責に帰すべき休業」とされることがあります。この場合、会社側には休業手当として「平均賃金の60%以上」を支払う義務が発生します。

つまり、明確に自宅待機の指示を受けている場合、自己都合によらず仕事ができない状態と見なされ、原則として給料の6割相当が支給されるべきという考え方が法律上存在します。

退職する場合でも「遡及請求」は可能か?

たとえ退職した場合でも、自宅待機期間の給与(休業手当)が未払いであれば、過去にさかのぼって請求することができます。労働基準法に基づく賃金請求権の時効は3年(2020年4月1日以降の労働契約に適用)ですので、焦らずに請求できます。

ただし、契約書や指示文書などで「自主的な待機」とみなされる内容が含まれていたり、「就業意思がない」と判断される可能性があると、不支給のリスクもあります。その点は事前確認が重要です。

実際の支給判断に影響するポイント

  • 派遣元が明確に「自宅待機」を指示したか(口頭でも記録があれば有効)
  • 待機中に他の派遣先や就業機会の斡旋がなかったか
  • 自宅待機中の連絡手段や体制が維持されていたか
  • 契約内容(労働条件通知書・就業規則等)に特例的な記載がないか

これらを総合的に見て、労働者に過失がなければ、休業手当の支給対象とされやすくなります。

労基署へ相談する場合の流れ

労働基準監督署に相談する場合、以下の準備が推奨されます。

  • 自宅待機の指示があった日付と状況の記録
  • 派遣会社とのやりとり(メールやLINEなど)の証拠
  • 労働契約書や派遣契約の写し

これらを持参のうえ、「休業手当の未払い」に関する相談である旨を明確に伝えれば、監督署が是正指導をしてくれる可能性があります。

派遣社員の声:実体験とアドバイス

「ある日突然派遣先が契約終了。派遣元から『次が決まるまで自宅待機で』と言われました。給料の6割が支払われたので助かりましたが、こちらから言わなければ支払われなかったかもしれません。」(30代 男性・製造業)

「自宅待機後、転職することになりました。最後の月の休業手当について交渉しましたが、記録が残っていなかったため厳しかったです。記録って本当に大事!」(40代 女性・事務職)

まとめ:退職しても給料(休業手当)の権利は失われない

派遣先からの契約終了で自宅待機になり、その後に退職する場合でも、待機中の期間が「会社都合による休業」と認定されれば、給料の6割を請求することが可能です。重要なのは「待機の事実」と「指示の証拠」。

退職前に不安がある場合は、労働基準監督署に相談し、正当な権利を守る行動を取りましょう。

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