交通事故に遭ったとき、多くの方が最も関心を持つのが「慰謝料」の金額です。実際に事故に巻き込まれた経験がある方から「金額が少なすぎる」と感じることも少なくありません。この記事では、軽傷事故の慰謝料の相場や、金額が増額されるケースについて、わかりやすく解説していきます。
慰謝料とは何か？その種類と基準
交通事故の慰謝料には主に3つの種類があります。
- 入通院慰謝料：治療に対する精神的苦痛の補償
- 後遺障害慰謝料：後遺症が残った場合の精神的苦痛の補償
- 死亡慰謝料：被害者が亡くなった場合の遺族への補償
今回のように、通院や後遺障害がなかった場合は「入通院慰謝料」のみが対象になります。
今回のようなケースの慰謝料の相場
一般的に、自賠責基準での入通院慰謝料は1日あたり4,300円（2024年4月以降は4,900円）です。したがって、1日と半日程度の治療実績がある場合は、計算上「6,000円〜10,000円前後」が目安です。
しかし保険会社が示談交渉の中で提示する金額には、休業損害や諸費用が含まれることもあるため、実際には「2万〜3万円」が提示されるケースもあります。
金額が少なすぎると感じたときの対処法
提示された慰謝料が納得いかない場合には、次のような手段があります。
- 異議申し立て：保険会社に再検討を依頼する
- 弁護士に相談：法テラスなどを活用して無料相談も可能
- 裁判基準での請求：弁護士基準に基づいてより高額な慰謝料を請求できる場合も
ただし、通院履歴や診断書がない場合、慰謝料増額の主張には限界がある点には注意が必要です。
「死にかけた」事実は慰謝料に反映される？
事故の衝撃が大きく、精神的なショックを受けた場合でも、通院・診断書などの客観的証拠がないと慰謝料として評価されにくい傾向があります。
精神的ダメージを強く感じた場合は、心療内科を受診し、その診断をもとに慰謝料請求を行う方法もあります。ただし、事故から日数が経過すると因果関係の証明が難しくなります。
会社の都合で出社した場合のリスク
本来であれば、事故後は医師の診断に基づいて一定期間の休養を取ることが望ましいです。無理に出社すると、事故との因果関係を否定されやすくなり、慰謝料や休業損害の支給に不利になることもあります。
たとえ出社しても、痛みや症状があるなら、早めに通院しておくことが今後の補償を受けるうえでも重要です。
まとめ：慰謝料の金額は通院実績が大きく影響
交通事故における慰謝料は、「どれだけ痛かったか」よりも「医師の診断・通院履歴・休業日数」によって大きく左右されます。今回のように治療を受けず復帰が早かった場合、慰謝料の金額が低くなるのは制度上ある程度仕方ない面もあります。
それでも納得いかない場合は、弁護士への相談や、精神的ダメージに対する別途診断といった選択肢も検討できます。
慰謝料は「正当な主張と証拠」で交渉可能です。焦らず、専門家の意見も参考にしながら進めていきましょう。