駐車場内での事故は、道路交通法の適用が一部緩くなる分、当事者同士の主張や証拠の有無によって過失割合が大きく左右されるケースが多くあります。特にドライブレコーダーがない場合や、相手が主張を変えた場合、納得のいかない状況に陥ることも。本記事では、こうしたトラブルの際に知っておきたい過失割合の決まり方や、弁護士への相談の目安について解説します。
駐車場内の事故は「ケースバイケース」が基本
駐車場は道路交通法の適用が限定される「私有地」扱いとなることが多く、出会い頭やバック事故などは民法上の不法行為責任での判断になります。そのため、過失割合の基準は曖昧になりがちです。
今回のように、前方の車が一度停止した後に急にバックしてきたケースでは、一般的には「後退車側に大きな責任がある」とされ、過失割合は0:10に近い形が原則です。ただし、被害者側が不注意だったと主張されれば、3:7などの修正が入ることもあります。
なぜ加害者が「ぶつけられた」と言い出すのか?
事故直後には非を認めた相手が、保険会社の助言などを受けて発言を翻すことは現実によくあります。録音や録画がなければ、「言った・言わない」の応酬になってしまうのです。
特にドライブレコーダーが付いていない場合、証拠能力が弱くなり、被害者でも不利な立場に立たされる可能性があります。このため証言を裏付ける物証の有無が交渉に大きな影響を与えるのです。
保険会社の提示する過失割合に納得がいかない場合の対処法
保険会社は自社の利益も意識しながら交渉を進めるため、「3:7で和解を」というような提案をしてくることがあります。しかし、それが法律上正当かは別問題です。
- 納得がいかない場合はその場でサインせず保留に
- 事故現場の状況図や写真を自ら保存しておく
- 弁護士に相談し、法的視点からの妥当性を確認する
また、保険契約に「弁護士費用特約」がついていれば、保険会社経由で無料相談が可能です。
弁護士に相談するべきタイミングとは
以下のような状況に当てはまる場合は、なるべく早く専門家に相談することをおすすめします。
- 相手が主張を一転させてきた
- 保険会社の提示が不当と感じる
- 精神的苦痛や買い物被害など慰謝料請求を検討したい
弁護士に相談することで、第三者的な視点から事実関係を整理し、有利な証拠の確保や交渉方針を練ることができます。
ドライブレコーダーがなかった場合に取れる対応策
事故直後に録画がないからといって諦める必要はありません。以下の行動が有効です。
- 事故直後の相手の発言をメモ・録音しておく
- 事故現場の写真や状況を書面化して保存
- 近隣の防犯カメラの映像を確認する(店舗や住宅の外カメラなど)
- 修理工場や保険アジャスターの調査報告書を利用する
これらを組み合わせることで、被害者側の主張に信憑性を持たせることができます。
まとめ:泣き寝入りせず、証拠と専門家の力を活用しよう
駐車場内での事故では、事故直後の発言や物証が決定的になります。たとえドライブレコーダーがなかったとしても、他の手段で状況証拠を固めることは可能です。
納得できない示談提案に対しては、弁護士相談・費用特約の利用・第三者的な証拠の収集を積極的に行いましょう。正当な過失割合を勝ち取るためには、冷静な判断と行動が不可欠です。