抵当権の譲渡・放棄における承諾の必要性と複数抵当権者との関係を徹底解説

宅建試験でも頻出となる「抵当権の処分に関するルール」は、理解を誤ると得点を落としやすい分野のひとつです。特に、抵当権の譲渡や放棄において、他の関係者の承諾が必要かどうかという点は混乱しやすいポイントです。本記事では、抵当権者の譲渡・放棄の可否およびその際に求められる承諾の要否について、実例も交えながら解説します。

抵当権の譲渡に承諾は必要か?

結論から言えば、抵当権の譲渡において、原則として抵当権設定者や他の抵当権者の承諾は不要です。抵当権は債権と共に譲渡されるため、債権譲渡の規定が準用されます(民法第369条・第466条)。

例えば、AがBに貸し付けたお金を担保するために抵当権を設定し、その抵当権をCに譲渡する場合、Bの承諾は不要です。ただし、譲渡の対抗要件(登記や通知など)を満たす必要があります。

抵当権の放棄に承諾は必要か?

抵当権者が単独で放棄する場合、設定者や他の抵当権者の承諾は必要ありません。放棄は権利者の一方的意思表示により成立するため、原則自由です。

ただし、順位変更との関係などで実質的に他の抵当権者に影響が及ぶ場合には、後述するように特例的に承諾が必要となるケースもあります。

複数の抵当権がある場合の注意点

物件に複数の抵当権が設定されているケースでは、以下のような処分行為には他の抵当権者の承諾が必要です。

  • 抵当権の順位変更(民法第375条)
  • 一部放棄による担保物件の縮小(影響を受ける後順位者の利益を害する場合)

例えば、1番抵当権者が2番抵当権者の前に順位を譲る場合や、ある区画の担保価値をなくす放棄行為は、他の権利者の承諾が必要です。

抵当権の処分と登記の要否

抵当権の譲渡・放棄は第三者対抗要件として登記が必要です。登記がなければ第三者に対抗できないため、実務上は登記手続きを伴います。

たとえば、抵当権を譲渡する際は「抵当権移転登記」、放棄する際は「抵当権抹消登記」が必要です。これらは宅建試験でも頻出の論点ですので覚えておきましょう。

試験で狙われやすいひっかけポイント

宅建試験では「譲渡には承諾が必要」といった誤った肢や、「放棄は自由」として順位変更の場面を混同させる問題が出題されることがあります。譲渡・放棄は原則自由だが、順位変更や担保物件の減少を伴う場合は他権利者の承諾が必要というルールを押さえましょう。

また、抵当権の処分に関する登記が対抗要件になる点にも注意が必要です。

まとめ:抵当権の譲渡・放棄は原則自由、例外を押さえよう

抵当権の譲渡・放棄において、他の関係者の承諾は原則として不要ですが、複数抵当権が存在し、順位や担保の範囲に影響を及ぼす場合には承諾が求められます。宅建試験でもこの原則と例外の理解が問われるため、しっかり整理して覚えておきましょう。

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