自転車とタクシーの接触事故など、軽微な怪我でも高額な医療費が発生することがあります。とくに子どもの事故では、親が立替えて支払う場面も多いでしょう。過失割合がある場合に「医療費は全額戻るのか?」と不安になる方も多いですが、結論からいえば、自賠責保険が適用されれば一定の条件で全額補償される可能性があります。この記事では、過失割合、自賠責保険、実費請求の流れについて詳しく解説します。
過失割合がある場合の治療費の取り扱い
一般的に、交通事故で損害賠償請求をする際は、双方の過失割合に応じて支払額が調整されます。例えば、タクシー6:自転車4の過失であれば、賠償額も6割相当と考えるのが通常です。しかし、自賠責保険の補償対象である人身損害については、過失割合が7割未満であれば減額されません。
つまり、お子さんの過失が4割であっても、自賠責保険からの支払いがある限り、原則として治療費7万円は全額戻る可能性が高いということです。
自賠責保険の支払い基準と特徴
自賠責保険では、「治療関係費」「通院交通費」「慰謝料」などが一定基準のもと支払われます。治療関係費には、診察料・投薬・検査費用なども含まれ、1名につき上限120万円まで補償されます。また、過失相殺が7割未満であれば、支払額が減らないというルールが明確にあります。
このため、タクシーの自賠責保険を利用して請求を行えば、たとえお子さんに4割の過失があっても、自己負担した7万円が全額返還される可能性が高いです。
病院で10割負担してしまったときの対応
事故直後で慌ててしまい、保険の提示をせずに10割支払うケースは少なくありません。この場合でも後日、領収書や診療明細をもとに加害者側の保険会社に請求できます。自賠責保険を経由する「被害者請求」という制度もありますので、保険会社が不誠実な対応をする場合は自身で直接申請することも可能です。
請求の際には、事故証明書・診療報酬明細書・領収書・通院交通費の記録などを提出しましょう。
示談交渉が難しいときの対処法
人身事故については保険会社が示談代行をできない契約もあります。今回のように子どもの保険が物損のみ示談代行対象の場合、自身で加害者側(タクシー会社)と交渉しなければなりません。
交渉が難航する場合は、法テラスなどの無料法律相談や、日弁連交通事故相談センターを活用するのも有効です。また、弁護士特約がついた保険に加入していれば、それを利用することで示談交渉を弁護士に依頼することも可能です。
実際に戻ってくる金額の目安
7万円の通院費を自己負担した場合、過失4割でも自賠責保険の適用によって全額回収できる可能性があります。ただし、加害者側の任意保険会社が自賠責を使わず、任意保険で支払おうとする場合は過失相殺される可能性もあるため、必ず「自賠責での支払いを希望する」と伝えましょう。
また、慰謝料や通院交通費についても請求できますので、適切に請求書を作成することが重要です。
まとめ:自賠責保険を理解し、正当な補償を受けよう
交通事故で子どもが救急搬送された場合、過失があっても自賠責保険を通じて全額返金される可能性は高いです。重要なのは、自賠責保険の過失7割未満は減額なしというルールを理解し、保険会社にしっかり伝えることです。
不安がある場合や交渉が難しい場合は、法律の専門家や相談窓口の支援を受けながら、正当な補償を求めて行動しましょう。