相続放棄をしても預金通帳はどうなる?遺産手続きの注意点と現実的な対応方法

相続放棄は親の財産を一切受け取らないという法的手続きですが、その後の通帳や現金の扱い、放置された遺産の行方について不安に思う方も少なくありません。特に預金が少額で、放置したままの状態で良いのかどうか、手元にある現金や通帳をどうするべきかなど、実務的な問題は多岐にわたります。この記事では、相続放棄後に発生する具体的な対応や注意点についてわかりやすく解説します。

相続放棄とは?基本的な意味を確認

相続放棄とは、被相続人の死亡後に家庭裁判所で申述することにより、法律上の相続人としての権利・義務を放棄することを意味します。放棄した場合、その人は初めから相続人でなかったものと見なされ、財産も負債も一切継承しません。

相続放棄の申述は原則として被相続人の死亡を知ってから3ヶ月以内に行う必要があります。この期限を過ぎると単純承認とみなされ、財産も負債もすべて相続したことになります。

母の預金を放置しても問題はないのか

母の遺産である預金(約30万円)が放置されている状態でも、今すぐ法的に大きな問題になることはありません。ただし、法的にはその預金は相続財産であり、正式には相続人間での分割協議や相続手続きを経て処理する必要があります。

誰も手続きを行わずに預金を放置すると、銀行は一定期間経過後に「休眠口座」として処理する場合があり、将来的に引き出しが困難になります。また、父の死後に相続放棄をすることで、母の相続も影響を受ける可能性が出てくるため、弁護士に相談するのが安全です。

相続放棄後に通帳や現金を保管している場合の扱い

相続放棄をしても、通帳や現金を物理的に手元に置いていると「財産を管理・処分した=相続意思がある」とみなされ、放棄が無効とされるリスクがあります。これを避けるためには、財産に一切手をつけず、第三者や裁判所の指示に従って保管・引き渡しを行うことが求められます。

例として、相続放棄を申述した後は、家庭裁判所の指導のもとで通帳や現金を家庭裁判所に提出したり、次順位の相続人や相続財産管理人に引き渡す必要が出てくるケースがあります。

相続財産管理人の選任が必要な場合

すべての相続人が放棄した場合、相続財産は「無主財産」となります。このとき家庭裁判所に申立てを行い、「相続財産管理人」を選任することになります。管理人は、財産を整理し債権者への弁済や残余財産の処理を行います。

管理人の費用は財産から支払われるため、少額の遺産しかない場合は実質的に財産が使い尽くされることもあります。そのため、30万円程度の預金については、家庭裁判所も管理人を選任しないケースがあります。

通帳や現金を手放すタイミングと方法

相続放棄を申述する際、通帳や現金の取り扱いについては事前に裁判所や弁護士に相談し、保管または引き渡しの方針を確認しておくことが重要です。不要な誤解やトラブルを防ぐことができます。

また、通帳や印鑑、現金などを勝手に使用・移動した場合、「相続の単純承認」とみなされる可能性もあるため、慎重な対応が必要です。

まとめ:少額でも慎重な対応が相続トラブルを防ぐ

相続放棄は手続きとして明確ですが、その後の財産管理には細心の注意が必要です。特に通帳や現金が手元にある場合は、扱い方ひとつで放棄が無効になるリスクもあるため、専門家への相談を強くおすすめします。

遺産が少額であっても放置せず、法的な対応をしっかり行うことが、将来的なトラブルを防ぐ最善の方法です。法テラスなど公的機関の無料相談も活用しましょう。

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